玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり

なるるん

玄関ダッシュ五秒の女子校

第1話:玄関ダッシュ五秒の高校に入学してみた



 ハーレム?


 いや、違う。


 むしろ、針のムシロ。


 よし、上手いコト言った!


 違うな。そうじゃない。そんなんじゃない。


 学校が目の前。家の真ん前。


 玄関前の信号を渡れば、そこが正門。


東雲しののめ女子高等学校』


 通称、『しのじょ


 ウチの母ちゃんの母校でもあり。


 寄る年波、少子化の波にもまれ、今年から共学化される事となり。


 喜び勇んで『通学時間五秒』のこの学校を受験。


 いや、五秒は大げさかもしれないが。


 信号が青でダッシュすれば五秒で正門をくぐれる。


 もちろん、信号待ちが入ればこの限りではない。


 なんせ押しボタン式の信号なので、別の誰かが先にボタンを押してくれていなければ、自分でボタンを押して、青になるのを待ってからのダッシュ。


 運よく誰かが押してくれた直後に玄関を開ければ。


 いち、にっ、さんっ、しっ、ごっ!


「ほらなっ!」


 玄関をうっすら開けて待機してたのは内緒だ。


 ただ。


「スカートって、走りにくいな……」




 そう。




 合格して、入学できたのはよかったんだが。



 何故か。



 男子用の制服が用意されておらず。


 校則だから、と。


「ってゆーか、学校名も『東雲女子高等学校』から変わってねぇし!?」


 正門に貼られた校名のプレートに燦然と輝く『女子』の文字。


 しかも。



 漏れ聞いた話。


「男子の合格者が、オレひとり……」


 らしい。



 正門前の道路から続々と流れ込んで来るスカートの集団。



 スカート、スカート、スカート、スカート。


 スラックスは、居ない。


 あ。


 先生らしき女性も、スカート。タイトなやつ。


 生徒は皆、プリーツスカート。


 オレも、プリーツスカート。



「いや、なんで?」


 ついつい。


 ひとり言が飛び出ちゃう、よ?




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