謎の幽霊少女

夢幻

第1話 門川松の幽霊

少女は室内で座って窓を見つめていた。雨の滴る窓は、雫となって床にポトっと落ちる。

「ふふ………」

そう小さい声で不気味に笑いながら、少女は立ち上がった。少女の目には光があまり無く、曇っている。

「ふふ…ふふっっ」

再びその場で笑うと、立ち上がって外へ向かっていった。「ふふ…ふふ…ふふっっっ」と笑いながら………。

「ねえ、この町に幽霊が出るって噂、聞いた?!」

「ああ、門川松の幽霊?聞いた聞いた!」

「門川松は、松竹梅を売っている店だよね。」

ある学校では、「門川松の幽霊が出る」という噂が流れていた。信じない人もいれば、信じて熱く語る人もいる。

「幽霊じゃなくてある少女だって、ニュースでやってたよ。」

情報通の子が、そう発言した。ニュースはいつも見ているのか、なぜかいつもニュースのことを話している。

「あれ………?」

ある子が、首を傾げた。

「どうしたの?」

「あんな子…いたっけ?」

その子が指を指しながらそういうと、みんなが一斉にそちらの方向に目を向けた。

「うちのクラスだよね…私、見たことないんだけど……」

情報通の子が、指を指していた方向にいる女の子を見ながら言った。その方向にいる女の子は、薄い笑みを浮かべていて、とても不気味に思える。

「ふふ…ふふ…ふふっっ」

その女の子は、少女だった…。

「お名前は?転校生?」

情報通の子は、そんなことも気にならずに少女に話しかけた。

「……」

さっきまで笑っていた少女は、すんなり黙った。

「………佐藤瞳……」

「へえ、いい名前だね〜!」

少女の名前は仮名沢瞳だった。しかし本名は公開することはできないのらしい。

「まあ、どうせすぐに忘れちゃうと思うけど…」

少女は最後にそう言って、一瞬で消えてしまった。

「えっ、消えた………?あの子…」

情報通の子が不思議そうに、少女が消えたあとを見つめる。

「さっきの子、消えたよね?」

「人間は消えないよ」

「化け物?」

「でもあの子存在感がなくて空気みたいだった…」

みんなが次々にそう言った。そして、

「「「「もしかして、幽霊???!!!」」」」

と見事にシンクロした。

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