後ろのミズキちゃん

碧絃(aoi)

プロローグ

 のんびりと四万十川をながめていると、ぴちゃ、ぴちゃ、と水たまりをんだような音が聞こえた。音はどんどん近付いてくる。


 どこから聞こえるんだろう、と思いながら辺りを見まわしたが、誰もいない。


 道路を見ても、水たまりは見当たらなかった。


 それなのに、ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、と音が聞こえる。


「ねぇ、知ってる?」


 突然、真後ろで幼い女の子の声がして、振り向くと、赤いワンピースが目に飛び込んできた。小学校の低学年くらいに見える女の子だ。肩まである髪の毛が風に揺れている。


 さっき後ろを見た時は誰もいなかったはずなのに、いつの間に、こんなに近くまで来たのだろうか。

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