自主企画参加作品 私は空想を生きている

!"#$%&'()=~|

第1話

夢を見た。

どうしようも無い夢。

絶対に叶えられない夢。

誰からも馬鹿にされる夢。


世界は平和だ。

私の脳が管に繋がれ幻覚を見せられていた。

夢を想った瞬間全てが叶うように作り直される。


例えばとっても困難な魔王退治の旅をして崇められたいという欲望があったとする。

魔王が現れて動物が全員恐怖のあまりショック死している。

そんな中人類は地下に潜り魔王を恐れていた。


そういう設定の世界に私が現れる。

そして様々な苦難がある。

死にそうになったり、必要以上の痛みを感じたり、どうしようも無いほどの悪夢に付き纏われたり。

もう本当に夢が叶えられない状況になる。

でも最後は叶う。


何があろうと最終的には叶う。

どんな苦難があろうと叶ってしまう。

悪役がどんなに強くても夢が叶う。


夢は失われた。

夢とは叶いそうで叶わないギリギリの距離だ。

現実には無いモノだ。

だから夢なのだ。


でも今は全て達成できる。

この檻の中で。

それが苦痛なら抜け出せばいいじゃないかと思うかもしれない。

無理だ。


もうこれに慣れてしまっている。

最後に叶わないと世界を滅ぼしそうなまでイラつく。

現実逃避だ。


嫌な現実から目を背けるんだ。

勧善懲悪なんて存在しないこの世から目を背けるんだ。

自身の思い通りにならないから目を背けるんだ。


面倒な奴だ。

我儘な奴だ。

現実も幻想もダメ。

じゃあどこに行けばいいのか?

それこそ夢なのか?


何があろうと夢は無くならないのかぁ。

でもこの場合夢というよりかは不可能だ。

夢よりももっと向こう側にあるモノだ。

何て呼ぼうか。

矛盾という言葉が合っているだろう。

結論は存在しないのだから。


私たちは夢の中で生きている。

それと共に夢を失った。


世界は平和だ。

でも幸福にはなれない。

慣れという恐ろしい概念がある限り。


一人の科学者が発明した理想。

全人類が願った理想。

遍く全ての存在が抱いた理想は儚く散っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自主企画参加作品 私は空想を生きている !"#$%&'()=~| @the-earth-was-blue

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説