第54話_キネティック
「正解は出たかしら?」
ケイラは勝ち誇ったように笑みを浮かべながら言う。
「あぁ..特殊魔法『キネティック』..魔力を運動エネルギーに変換している..」
と、ケラプは冷静に分析する。
彼女の表情には、被った傷をものともしない冷静さが窺えた。
「おぉ、よくわかったわね!私が使うのは『キネティック・サージ』..体を動かすことによって発生する運動エネルギーを増加させる魔法よ」
ケイラの驚きは彼女の表情に明確に表れ、
彼女の能力を見抜かれたことに対する認めるような感情が交じる。
「身内に同じ魔法を使う者がいてな..物理攻撃の強化..そして物理ダメージの軽減ができると聞く」
とケラプが続けると、ケイラの目は輝き、戦闘の最中でさえ、新たな出会いへの期待を隠せなかった。
「へぇ、ぜひ会ってみたいわね。これが終わったら紹介してよ」
とケイラは期待に満ちた声で言った。
その瞬間、二人の間の空気がわずかに和らぎ、戦いの緊迫感が一瞬だけ薄れた。
しかし、その軽い雰囲気はすぐに打ち砕かれる。
ケイラが突如としてキネティック・サージを駆使し、
ケラプの目の前に瞬時に現れたのだ。
彼女のマチェーテが空を切る音は、再び戦闘の真剣さを思い起こさせた。
「にしても君は面白いな..移動にまでキネティックを使うとは..元々の身体能力が高い証だ」
とケラプは、攻撃を軽々と受け止めながら、彼女の技術を称賛した。
(な..!?こんなにあっさりと..)
と、ケイラは内心で驚愕し、ケラプの予想外の力に戸惑う。
受け止められた手にわずかに痺れを感じる。
「だが攻撃は見える..見えてしまえばどうということはない」
とケラプが続けると、拳には突如として雷が纏わり始める。
空気がひび割れるような音とともに、
彼女の拳がケイラに向かって猛烈な速度で突き上げられた。
雷の光が夜を切り裂く。
その一撃は、ケイラを強力に後方に吹き飛ばし、周囲には雷の鳴る音が響き渡る。
「がぁっ!?」
ケイラの悲鳴が夜空に響き渡る。
その声には、痛みと驚きが混ざり合っていた。
ケイラは力強く後方へと吹き飛ばされ、
(雷魔法!?..しかもあんな使い方を..)
激しく転がりながら、彼女は瓦の上で仰向けに止まる。
電撃が彼女の体を駆け巡り、一瞬の麻痺が彼女を動けなくさせる。
「拳のダメージは軽減されたが..『プラズマクラッド』で拳に雷を纏わせた..効いているようだな..」
ケイラに近づき、倒れている姿を見下ろしながら言う。
彼女は苦痛に顔を歪めながらも、ケラプに上から見下ろされる屈辱に耐える。
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