第34話_ウィンド
柔らかな光が木々の間を縫って地面に降り注ぐ中、三人は森の開けた場所へと足を進めた。
村田とライトはガガリアの後を追いながら、
これから目の当たりにする魔法の実演に心を躍らせていた。
「さて、ではさっきと同じように..」
ガガリアは落ち着いた声で言い、その後ろ姿からは自信と落ち着きが感じられた。
その瞬間、ガガリアの手の周りに風が集まり始め、
彼の意のままに動き出す様子にライトは目を見張った。
ガガリアはその風を操り、一本の木の幹に向けて手のひらを向けた。
すると、その風が刃のように鋭くなり、木の幹には爪痕のような傷がついた。
その傷跡を見て、ライトの目はさらに大きく開いた。
彼の表情には、驚きとともに新たな可能性への憧れが浮かんでいた。
「これが『ウィンド』だ」
と、ガガリアは堂々と宣言した。
彼の言葉には、魔法の力とその使い手としての誇りが込められていた。
ライトはその場に立ち尽くし、
手に入れたばかりの知識と実際に目の前で見せられた魔法の力の大きさに心を奪われた。
緊張した静けさの中、ガガリアはライトに向かって続けた。
「さ、やってみるんだ。最初は詠唱有りの方がイメージしやすいよ」
とガガリアが優しく促すと、ライトは頷き、自分もできるかどうかの不安と期待で心が揺れた。
「詠唱有りだとやりにくいかもしれないが、まずは成功体験をすること、それが何より大事だ」
ライトは深く呼吸をし、心を落ち着かせた。
彼は集中し、ガガリアの教えに従って、心の中で風をイメージし始めた。
すると、手元に微かな風が集まり始める
そしてライトはゆっくりと
「ウィンド」
と呟いた。
その言葉とともに彼の手から放たれた風が木の幹に優しく触れた。
傷はつかなかったものの、ライトはその小さな成功に心からの喜びを感じた。
「やった、できたよ!」
とライトは興奮を隠せず、村田とガガリアに向かって手を振った。
ガガリアはライトの成功を見て、内心で彼の天賦の才に驚きながら、
「流石だね、あとは威力を調整するだけだ」
と称賛の言葉をかけた。
ライトはさらにガガリアの指導のもと、ウィンドを練習し続けた。
ガガリアはこの若き魔法使いがこれからどんな驚きをもたらすのか、心から楽しみに思った。
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