第24話_訪問者

ライトが静かな寝息を立てて眠りにつく中、村田は彼の隣で見守り続けていた。

その穏やかな時間に、ベルタが静かに部屋に足を踏み入れた。

彼の足音はほとんど聞こえず、部屋の静寂を崩さないように配慮していたようだ。


「よう、ライト君は大丈夫そうか?」

ベルタの声は低く、しかし温かみのあるものだった。

彼の目は心配そうにライトの寝顔を見つめていた。


「えぇ、おかげさまで」

と村田は微笑みながら応えた。

彼の目には、ライトの無事を喜ぶ光が宿っていた。


ベルタは一瞬思案するような表情を浮かべ、

「それはよかった。正直、なぜ無事なのか不思議ではあるんだが..」

と続けた。

彼の言葉には、ライトの不思議な生命力に対する驚きと、

どこかで感じる不可解な気配が含まれていた。


そして、彼は少し躊躇いながら、

「なぁ、その子は一体何者なんだ?」

と切り出した。

その質問は村田にとっても重要なもので、彼は深刻な面持ちでベルタを見つめ返した。


「..実は俺もよくわかってないんです。ライトと共に旅をしているのもそれを知ることが目的なんですよ」

と村田は静かに語った。

彼の言葉には、ライトに対する深い関心と、共に旅をする中での絆が感じられた。


ベルタはそれを聞いて、優しい笑みを浮かべた。

「なるほどね。もしわかったら俺にも教えてくれよ」

と軽妙に言葉を返し、その後真剣な眼差しで付け加えた。


「あっ親父に話を聞いてみるのもアリかもな、若いころ色々な国を転々としてたみたいだから」

彼の提案には、ライトの謎を解く手がかりを見つけようとする前向きな姿勢が表れていた。


しかし、その穏やかな会話は、外から響く騒がしい声によって途切れた。

村田とベルタは一斉に外を見るために窓へと歩みを進めた。

彼らの表情は一変し、不安と緊張で引き締まっていた。

村の雰囲気の変化を感じ取り、二人は何が起こったのかを知るために、急ぎ足で外へと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る