第二章【カバルの村編】

第18話_旅の始まり

二人は草原を歩き、静かな川を越えながら、

アドリア大陸の広大な自然を横切っていった。

周囲の景色は徐々に変化し、そこには新たな驚きと発見が待っていた。


「ねぇシュン、城下町まではどのくらいかかりそう?」

ライトが訊ねた。

彼の声には、旅のわくわくと少しの不安が混じっていた。


「歩いて3日くらいはかかるな、基本は野宿、途中小さな村があるみたいだからそこに泊めてもらったりしよう」

村田はグレイスからもらった地図を見ながら、落ち着いた口調で答えた。

彼の目は、計画を立てる際の冷静さと自信に満ちていた。


その日の夜、森に差し掛かったところで二人は焚火のそばで干した豚肉に塩をまぶしたものを食べながら、お互いに話をしていた。

焚火の炎が二人の顔を暖かく照らし、夜の寒さを和らげていた。


「それにしても、お前2年間で全然身長伸びてねーな」

と村田がからかった。


「うるさいなぁ!まだこれからだって!」

ライトは顔を膨らませ、少し拗ねたような声で反論した。

彼の目は、少年特有のプライドを守ろうとする瞬間のきらめきを見せていた。


「それ1年前も言ってなかったか?で、その『これから』はいつ来るんだ?」

村田はくすっと笑いながら、更にからかう。


ライトは更に顔を膨らませ、

「うっ..そういうシュンはどうなのさ!2年前に比べて『横に』伸びたんじゃないの!?」

と言って、反撃した。

彼の声は、少しの怒りと楽しんでいるようなトーンが混ざっていた。


「う、うるせぇな!グレイスさんの料理が美味すぎるのが悪いんだよ!それに食べないと成長しないしな!」

村田は少し赤くなりながら、慌てて言い訳した。

彼の表情は、自分の体型に対する少しの気恥ずかしさを隠せていなかった。


「そーやって人のせいにする!」


そんな下らない言い争いをしている内に、ライトに睡魔が襲い掛かる。

「ふわあ~、眠くなってきた..」


「なんか疲れた..ライト、寝てていいぞ。俺見張っておくから」

と村田が優しく言う。


「そっか、シュンは『シャカイジン』だから寝なくても大丈夫だったね」

なんか誤解されている気がするが、納得してくれたのでよしとする。


「あーそうだ、明日も朝早いからな」

と村田が付け加える。


「ふふ、ありがと。なんやかんやシュンは優しいよね」

ライトは持参した敷布団に横たわりながら眠そうに言った。


「へいへい、さっさと寝ないと身長伸びないぞ~」

と村田が笑いながら言う。


ライトは

「やっぱりさっきの嘘おやすみ」

と言い残して眠りについた。


村田は息をつきながら、焚火を見つめ続けた。彼らの冒険はまだ始まったばかりだ。

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