第2話:最初のデート。

さて、めでたく結婚した尚太郎とペッパー。

ここで、新婚生活に入る前にふたりが結ばれるまでの経緯をちょっと振り

返ってみようかな。


最初のふたりのデートは軽〜くお昼ご飯デートだった。

尚太郎がペッパーをご飯に誘ったからだ。

普通は夜ご飯なんだけど、なぜか昼ご飯。


尚太郎はそのうちペッパーをディナーに誘うつもりだったから、とりあえず

昼ご飯でもって思ったようだ。

昼ご飯デートならフェアリーテールでもよかったんだけど、そこはそれペッパーは

店のまかないを食べ飽きてるから。


だから尚太郎は自分が大好きな近所の「亀屋」のセルフうどんのお店にペッパーを

連れて行った。


「私、釜揚げうどん大好き」


「同じ、同じ・・・僕も釜揚げ・・・これだよね」


ペッパーはこうして父親以外の男性とご飯を食べに行くなんてはじめてだった。

尚太郎じゃなかったら、たぶん断ってただろう。


そのうどん屋さんで、ペッパーは尚太郎からディナーの誘いを受けた・・・。


彼女の興味を引くためには徐々に攻めていかなきゃね。

断る理由がなかったペッパー尚太郎からの誘いを快くオッケーした。


ペッパーにとって尚太郎はとっても好青年・・・好印象・・・今のところは・・・。


「ねえ、私のどこがよかったの?」


「え?どこがって?・・・そりゃ性格も可愛いいし、そのままでも可愛いのに、さらに笑顔が可愛いし・・・とにかく可愛いから・・・」


「可愛いしか言ってない」


「だって可愛いんだからしょうがないだろ? そういうもんだって・・・」

「じゃ〜ペッパーは僕のどこがいいの?」


「え〜と・・・イケメンさんだし、性格が真面目だし、優しいし、怒ったり怒鳴ったりしないし・・・自己中じゃないし、穏やかだし・・・包容力あるし・・・」

「そんなとこ」


「あのね、まだ知り合ってそんなに経ってないのによくそれだけ並べたね

僕のこと・・・」


「だって、そう思ったんだもん・・・違ってる?」


「まあ、そんなもんでしょ?・・・難しいんだよ人のこと褒めるの」

「人を好きになるのは理屈じゃないからね・・・好きになったから好きになった」

「頭で考えるんじゃなくて心が動くんだよ、だからそれでいいの」


「前にお付き合いしてた女性にも同じこと言ってたんでしょ」


「か、彼女なんてそんなものいなかったし・・・」


「誤魔化してもダメだよ・・・ウソでしょ・・・私、相手の心が読めるんだよ」


「え?なんだって?・・・ま〜た、なんか変なこと言ってる」

「ペッパーは時々変なこと言い出すよね」


「あ、ごめん・・・今のは違うからね・・・ほんの冗談、あはは」

「人の心なんて読めるわけないでしょ・・・バカみたい」


なんせペッパーはヒューメリアンだから、地球人にはできないことが、いろいろ

できちゃうんだ。

人の心だって読めちゃうんだな、Xメンのプロフェッサーみたいに・・・。


どこに誰がいるかなんて朝飯前・・・全世界中のビジョンが見えるんだ。

だから警察がペッパーを雇ったら指名手配者なんていなくなるだろうね。

まあ、普段はそんなことしないけどね。


「ペッパー大丈夫?・・・一瞬で消えちゃうとか空も飛べるなんて言わないでよ」


「無理無理・・・冗談だから」

「それより・・・私ディナー楽しみ」


誤魔化した。


「そう、それそれ・・・今週の土曜日の夕方、それでいいかな?」


「うん、楽しみにしてる」


で、ディーナーの待ち合わせは土曜日の夕方四時、駅前のパンダの石像の前で

ってことに決まった。


人の心が読めるなんて、うかつにもついクチが滑ってしまったペッパー。

危ない、危ない。

尚太郎には絶対ヒューメリアンだってことは内緒にしておかないとね。


とぅ〜び〜こんて乳。


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