もっと早くに気付いていたら
「告白……しようかと思って」
彼女はそう言ってマフラーの先を弄んだ。
「そっか……」
ため息のような相槌が白い。
ついにこの日が来てしまった。
「うまくいくことを祈ってるよ」
口ではそう言うけど、半分くらいしか祈ってない。
いや、ちっとも祈っていない。
「ねぇ見て」
空を見上げると、茜色と紺色のグラデーション。
「綺麗だな」
彼女の横顔を盗み見る。
もしかしたら、ふたりで下校するのはこれで最後になってしまうかもそれない。
好きならば、彼女の幸せを祈るべきだ。
うまくいかなければいい。
そうすれば、これからもずっと──
ふたつの思考に挟まれる。
もっと早く自分の気持ちに気付いていたら、こんなことにはならなかったかもしれない。
彼女の頭に手を乗せる。
こんなことをするのは、これで最後かもしれない。
「うまくいくといいな」
照れくさそうに「ありがとう」と言う笑顔に、鼻の奥が痛くなった。
────光と闇の狭間で
2024.12.02.
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