三人の約束
ないはずのものを追い求める。
いや、ないからこそ、追い求めてしまうのかもしれない。
その樹の根元にはいくつかの石碑が並べられていた。
そのひとつを持参した布で拭いていく。
「ずっと一緒にいるって、言ったのに」
手を合わせ、まだ植えられてから数年しか経っていない樹を見つめる。
葉を揺らす風は、秋の香り。
イングリッシュガーデンを一周していると、見知った顔に遭遇した。
「来てたの」
「あぁ」
思わず声をかけてしまう私は、嘘も誤魔化しも出来ないタイプなのだろう。
彼は私から目を逸らした。
「良いところだな」
そう言って彼は周囲を見渡す。
「そうだね」
ひらり。
一枚、黄色く染まった葉がふたりの間に落ちた。
「じゃあ、俺もお参りしてくるから」
視線を合わせず背を向ける彼を見送る。
彼女がいなくなってから変わってしまった私と彼の関係は、もう戻ることはない。
ずっと一緒にいると、約束したのに。
────永遠に
2024.11.01.
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