雪国の小京都


 端にほんの少し雪が残る住宅街から出発し、りんご畑を抜けて進んでいく。

 ゆったりと千曲川ちくまがわ沿いを走る。

 トンネルを抜けるたびに雪の量が増えていく。


 ふと気がつくと、窓に白い粒が当たっていた。

 その大きさと激しさに、日本有数の豪雪地域──特別豪雪地域に指定されているのだと、改めて思う。


 

 単線非電化のローカル線。

 降り立った駅は無人。




 母が生まれ育った町。

 顔も覚えていないその人の足跡を辿る。


 もしかしたら、一緒に見ていたかもしれない景色。



 白い。



 どこまでも白くて、目を閉じる。





────列車に乗って


 2024.02.29.

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