掌編小説・『ヴァレンタイン』

夢美瑠瑠




 キリスト教の、古くからある因習、文化の一つだと思いますが、365日にはそれぞれその日に該当する「聖人」、偉人、宗教家?そういう人がいるらしいです。


 毎日に「その日の花」があったり、あるいは「その日の宝石」があったりするのと同様だと思う。


 面倒なので調べないが、で、2月14日はバレンタインという聖人の日で、で、セント・バレンタインデー…


 他には、4月23日が、サンジョルディの日と言って、だから、ジョルディという聖人の日なわけです。この日は、「本の日」とされている。


 11月1日は、「万聖節」といって、こういう聖人みんなが一堂に会する日とされている。その前夜祭、イヴが、ハロウィンで、最近は人口に膾炙してきた。


 キリスト教的なこういうセレモニーはだいたいがなんとなくお洒落で華やかなイメージで、で、若者とかに流行りやすく、商業ベース?にも乗りやすいのだ思う。で、コンビニとかではチョコレートが並んだり、ハロウィンの仮装パーティのためのグッズが大売出し?されたり、活況を呈する?_のだと思います。


 こういう、季節的な行事とかで、モノを売るのに、そういう時候の挨拶みたいに?ついでにモノを売るという商法の元祖は、かなり古いので元祖かもしれないが、かの平賀源内が「土用の丑の日」と言って、ウナギを売り出すための、今で言う「コピー」を作ったこととかだと思います。別に深い意味も来歴もないが、夏バテするので、スタミナのつくウナギが、暑い頃にはピッタリ、そういう単純な発想が、単純な民衆にウケた。よく意味は分からないが、そういうことになっている、保守的な庶民にはそういうのを割と受け入れやすい、たぶんそうした信心深さのようなものがあって、楽しい行事やお祭りみたいなものとして、イベントを歓迎するとか、まあそういう罪のない、生活の知恵だと思います。


 日常は退屈で刺激に乏しく、ともすればマンネリになる。これは精神衛生にもよくないし、経済やらなにやらが沈滞せず、労働意欲を持続させて、生活にメリハリを作っていくのが、いろいろと有意義なことで、…?


 で、盆暮れ正月がもちろんそれらの嚆矢であろうが?、人生に不可欠な、皆が楽しくて、心うきうきするハッピーなもの、祭儀、祝賀?として、そういうバレンタインやらハロウィンが、とりわけ資本主義社会の中で定着して、…


 そういうことにボクは、まったく異論もないし、寿ぎたい摂理のようなものかと思います。


 万学の祖、歴史一の賢人のアリストテレスは、「人間のなしたことはすべて肯定する」という金言を残した。


 「人生の秘訣は生きることだ」と言ったのもアリストテレス。


 ボクも、人間のなしたことはすべて肯定しつつ、ひたすら今日も生きていこうと思う…


 たとえ、バレンタインチョコは一個も貰えなくても。



 

 

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