第5話:

宿場町と謎の文字①

 松明の明かりが果てしなく続く通路をぼんやりと照らす。


 複雑に入り組んだ地下遺跡はどこかカビ臭く、どこまで行っても終わりがないかのようだった。


 行く手を遮る魔物どもを蹴散らしつつ、四人の冒険者たちは最奥を目指して何時間も彷徨い続けていた。


「お、あそこに扉があるぜ」


 その内の一人、首から銅のプレート吊り下げた狩人の男が真っ先に扉を見つけ仲間に伝える。


 すると、これも同じ銅のプレートを下げた盗賊の男が扉にへばり付いて、中の物音に耳を澄ませ、罠の有無を確かめた。


「――罠の類は無いみたいだぜ」


「そう言って骸骨戦士スケルトン・ウォリアー五体と戦う羽目になったのは誰のせいだったっけ?」


 パーティーの紅一点。豊満な胸元に青銅のプレートをぶら下げた女戦士がからかうようにクックックッと笑った。


「あ、あの時はたまたま調子が悪かっただけだっ。今回は間違いねえよ」


「ま、どのみち通路はここまでようだし、入ってみるしかあるまい」


 パーティーのリーダーにして、先の三人の師匠でもある鉄等級の男が松明を掲げて見せる。確かに薄ぼんやりとした通路の先は、すぐそこで行き止まりになっているようだった。


 扉を押し開け部屋の中へ踏み込む。


 その部屋に入って真っ先に気付いたのは、奥に据えられた祭壇と、そしてそれを守るように両脇で翼を広げる石像だった。


「ここが最奥……?」


「にしては些か部屋が狭いようだが」


「とすると考えられるのは、あの祭壇の裏に隠し階段があるってところか?」


「だったらまずはあの邪魔なガーゴイル石像を片付けないとね!」


 そう言うやいなや、背中に吊った大剣グレート・ソードを一気に抜き放ち石像の一体に斬りかかる女戦士。


「待てつ! なにか様子が変だ」


 師匠の男が何かに感づいたのか慌てて女戦士を止めたが時既に遅く、その大剣は石像を粉微塵に砕いていた。

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