鬼斬り

Mitsu

第1話 悪夢

 ランドセルを背負った男の子が、大人の腰高さの低い門の横にある、チャイムを押しながらインターフォンに話しかけている。


「 ただいま 」

「 ママ、帰ったよ 」

「 ママ、ママ、だれも、いないの? 」


 男の子は、ランドセルを下ろし、鍵を取り出す。


 門を通り抜け、10歩ほどあるいて、玄関のドアに鍵を差し込む、


「 あれ、かかってない 」


 家の中に入る、 パパがうつ伏せに、倒れている、


「 パパ、パパ 」 ニュルとした感触、手が真っ赤だった、

「 ひっ 」

「 ママ! 」


 玄関から中に、キッチンで眼の玉が飛び出そうなほど、眼を開いた、血まみれのママが、裸で倒れていた。


「 ぎやーーーーーっ! 」


 ドタ、ベッドから転げおちる「 うーーーっ 夢か 」


 何百回と見続けてきた悪夢。


 寝汗で体がベトベト、シャワーを浴びに、風呂場へ行く。


 サッパリして、部屋に、格安のビジネスホテルに引っ越したのは1週間前、祖父から受け継いだ自宅を引き払い荷物も売り払った。


 部屋から持ち出した机の上の三角の小さなカレンダーには、XXXXの印が。


「 明日か 」


 8歳の時に、両親は、麻薬常習犯に襲われ殺された、そいつが、出所してくる日である。


 精神に問題があったという理由で死刑を免れた野郎、27年待った、27年かけて、そいつを殺す技を身に着けた。


 空手、柔道、剣道の道場へ小学校から通った。

 祖父母の基で育てられた、両親が殺された日の悪夢が一度も消えた事は無い、そのことが、復讐の炎を、燃やし続けられてきた、原動力であり、俺が生きている理由でもある。


 すでに、お爺ちゃんもお婆ちゃんも他界、両親の遺産、祖父の遺産と両親の生命保険、俺にかけてくれていた学資保険など、生きて行くには十分なお金があった。


 体育系大学、剣道の特待生として、授業に出席はしていたが、大学では剣道だけで過ごし、卒業後は仕事にも付かず、バイトもせず、古武道、天然理心流を学ぶ、食べる、寝る以外のすべての時間をつぎ込んだ。


 天然(てんねん)理(り)心流(しんりゅう)とは、日本の古武道の流派。剣術、居合術、小具足術(小太刀術)を含み、その他柔術、棒術(棍法と称する)も伝えた総合武術である。


 父をナイフで16カ所もめった刺しにし、母を犯し、心臓に包丁を突き立て殺した犯人、麻薬により精神に異常があったとして、死刑を免れた男、その男を殺すために、技を磨き続けた。


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 2作目の投稿となります、よろしくお願いします。

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