告白

 瀬川さんと小林さんがオレのプロポーズ話を聞きたいというので、人の夢に勝手に出演してプロポーズしたのだと話した。

 

 すると、二人は

「「夢かい」」

 ってなった。

 

 そりゃ、そうさね。

 

 

 宮田くんは、ジュースをがぶ飲みしてまたトイレにスライディングするかと思ったら、逆にお腹に甘いジュースくれてありがとうと言われて治ったそうだ。

 

 …お腹からお礼を言われたりするんだ?

 宮田くんの腹の事情は、宮田くんにしかわからないのだろう。

 

 とりあえず、無事腹痛が治ったのならよかった。

 

 それから一週間経ち、宮田くんはすっかり元気になっていた。

 

 もう、元気すぎてうるさい。

 

 たまに教室の隅で、ラッパーにもなる…

 

 そして、とある日にはダンサーにもなっていた。

 

 

 そんな元気な宮田くんだけど…

 今日は、あまり天気が良くない。

 まぁ、宮田くんに天気関係ないけど。

 

 

 …

 

 

 うめおばあさんは、雨が降る前に膝が痛くなるらしい。

 

 いつもお茶菓子をいただいているお礼に膝掛けを購入したのでプレゼントをしようと思う。

 

 

 そして、おばあさんの元へむかうと曇りだけど日向ぼっこしていた。

 

 なので早速膝掛けをプレゼントして膝にかけてあげた。

 

 

「あったかいのぅ。ハートがぽっぽしておるよ」

 と、あしをゆらゆらしながらオレをにこやかに見つめた。

 

 ハートがぽっぽ…

 

「雨、降りそうですね」

「あぁ、そうじゃのう。昨日の雨はすごかったのぅ」

 と、空を見上げるおばあさん。

 

 昨日って…めっちゃいい天気だったよね。

 

 

「孫が…な。土砂降りじゃった」

 

 ⁉︎

 

 どういうこと⁉︎

 

「えと、雨に濡れてってことですか?」

「違う違う。泣くんじゃよ。まったく奥手で困るわい。先越されたってのぅ」

 

 …

 

 恋バナってやつで泣いたのかな…。

 

 孫ってどっちのお孫さんだろう。

 高校生か、ルトくんか…。

 

「お孫さんって、失恋した…とかですか?」

 

 オレの質問におばあさんは、鋭くオレを見て、

「ふったんか?結婚せんのか⁉︎」

 と聞いてきた。

 

 

「えっと、だれもふってないですし…そもそもおばあさんのお孫さんって…」

 

「あぁ、まだあのこは告白もせんのじゃのう。孫なだけにマゴマゴしておるんじゃよ」

 と少し呆れ顔で笑った。

 

 

 告白…

 

 オレに告白してくれるの?

 

 たぶん…小林さんが。

 

 たぶんだけど。

 

 

 宮田くんには、なんて言えばいいのだろう。

 

 小林さんの気持ちも宮田くんの気持ちも知ってて…なんか気まずい…です。

 

 

「好きじゃよ。」

 

 ⁉︎

 

「えっ?」

「遼一が好きじゃ」

 

 ⁉︎

 

 い、いきなりの告白…

 

 

 しかもお孫さんじゃなくてうめおばあちゃんから⁉︎

 

「あの、オレ…」

 

 どうしたらいい?

 

 オレも好きだよってハグするの?

 人として好きだけど…こういう場合どうすれば…

 

「孫のかわりに告白ってやつをしてみたんじゃが、やっぱり本人がいわにゃダメじゃろうねぇ。」

 

 あー、そういうことか。

 …焦ったわ。

 

 てか、そもそも普通はマルマルさんがあなたを好きらしいよ、とか伝言てきなのは分かるけど、好きってかわりに告白って…なかなかないよね。

 

 

「あはは、びっくりしましたよ」

「そうかい。ごめんにゃ。」

 

 …ごめんにゃって。

 

「いえ、大丈夫です」

 と、話が終わったかと思えばおばあさんからとても有力な情報をいただいた。

 

「もう、薄々おれげの孫がだれだかわかっているじゃろう?」

 なんて言われたんです‼︎

 

 おれげ⁇いや、そこじゃない‼︎

 

 やっぱり小林さんじゃん⁉︎

 

「あの…はい。たぶん…」

「あのこは、優しくて気遣いできて、なによりもわしに似て美人じゃろう」

 と、顔をくしゃくしゃにして笑うおばあさんがなんとも可愛らしかった。

 

 

 オレ、きっともうすぐ小林さんから好きって言われるのかな…?

 

 どうしよう。弟のルトくんとも婚約してるのに…。

 

 …

 

 

 

 次の日、学校に行くと宮田くんがなんだか廊下でソワソワとしていた。

 

「宮田くんおはよう。どうしたの?教室入らないの?」

 オレの声かけに宮田くんは、

「どうしよう。オレ…小林さんがやっぱり好きすぎる‼︎上着五枚くらい着たぐらいに好き過ぎるっ」

 とオレに訴えかけてきた。

 

 えっと…

 

 上着五枚?

 

 それは好きすぎるじゃなくて着すぎる‼︎

 って…そうじゃなくて…

 

 …

 

 小林さんは…小林さんは…小林さんの好きな人をオレは知っていて…でもどうしようもなくて…

 

 

「なあ、オレ告白してみようかな?練り消し添えて。」

 

 …

 

「練り消しは…添えなくても…ね。」

「え、じゃあ何添えればいい⁉︎シャー芯一本?」

 

 …

 

「いや…、なにも添えなくてよくない?」

「そうなんだ?なら、言葉も言わなくても伝わる?」

 

「それは…言わないと伝わらなくない?小林さん、テレパスとかじゃないと思うし」

 

「えっ、そうなんだ⁉︎小林さん…テレパスじゃないんだ⁉︎」

 と驚く宮田くん。

 

 なんでだよ…。

 なんで逆にテレパスだと思っていたんだ…

 

 宮田くんは、小林さんをどんな風に見ているんだか…

 

 ってか‼︎

 宮田くんが小林さんに告白したら大変なことになるんじゃないっ⁉︎

 

 宮田くん…怒るだろうな。

 小林さん、おまえのこと好きなんじゃん‼︎オレのこと、ずっとバカなやつって腹で笑ってたんだろってさ…

 

 

 どうしよう…

 困ったな…

 

 

 

 続く。

 

 

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