第126話 世界樹:セシリア

 ドスン…と音を立てて結界の前に降り立つ。一応結界の触れてみるが、やっぱりとんでもなく硬いのが分かる…とても薄皮一枚みたいな見た目がして良い硬さでは無いと思う。


 結界はこの先にある海に見間違える程の大きい湖を囲む様に展開されており、その湖にある島?に恐らく神樹とされるデカい木が生えている。


 ただまぁ、この結界を壊して良いものかどうか…結界を張ってるのはおそらく必要だからだろうし、必要ならば壊して良いわけがない…と言うか神格者の怒りを買う可能性を考えたら簡単に壊せん。


 迷いながら結界をコンコンッと翼脚で叩いてると急に身体が人化した…人化した⁉︎


「えっ、はぁっ⁉︎」


 急に身体がが変化するとかすごく怖いしびっくりするのだが。もしかして操られてるのでは?と勘繰ってしまうほどだ。


 とりあえず原因究明の為にも内側に意識を向ける…が、意識を向けた瞬間に周囲の木々が一斉に…それこそ俺が認識出来ない速度で俺に絡みついてきて、一瞬で繭のような形になって俺を閉じ込める。


 流石になりふり構ってられずに全力で崩壊の力を放出させようとした瞬間に【まだジッとしてて…問題無いから】と言う言葉が頭に響く。…リアの声だ。


 リアが言うなら…多分大丈夫なのだろう。なんか段々とここで暴れた余計にヤバい気がしてきたし。

 て事で大人しくする事恐らく数秒…一気に木の繭が解かれて太陽の光が差し込んできた。


(…何処だここは)


「…だから言ったのに。ゼノが驚くって」

「でも結界を壊されるよりマシ…貼り直すのめんどい」

「…貴女ならそこまで手間が掛かるものじゃないのに」


 非常に過ごしやすそうにまばらに生えた木々に、戯れる小動物達。そして目の前には綺麗な木で作られた椅子とテーブルに座ってお茶をしている少女と幼女リア

 なんだろうか、人の姿は大人な見た目である俺がこの幼なげな空間に入るのは結構抵抗が出る…側から見たらお父さんとかに見られるのだろうか?


「…?ゼノ、何してるの?早くこっちおいで」

「えっ?あぁ、うん」


 呼ばれたから行くけども…なんかこの空間に入りずらい。

 座る場所はリアの隣…に座ったらリアが俺の上に座ってきた。リア曰く「頑張ったご褒美と感謝」だそう…俺を背もたれにしてしっかり寄りかかって来るリアに幸福感が出てくる。


「ねぇ、私は二人のイチャイチャを見ながら話さないといけないの…?」

「ん、我慢して…」

「…はぁ、まぁ良いけども。リアさんが幸せそうでなによりだし」


「それで?貴方がリアさんがお熱なお相手なのね。………うん、とりあえず感謝しとく…あの崩壊エネルギーを解決してくれてありがと」


 そう言うのは目の前にいる少女。大体中学生くらいの見た目であり、新緑色の髪と瞳をしていてその表情は気怠げ…

 服装は緑を基調としたワンピースであり、森の精霊のお嬢様と言う言葉が似合いそう。


 …あのっ、リアさん!抓らないでっ!脇腹を抓らないで!浮気じゃないからっ!リア一筋だから!

 あとリアが力を入れて抓ると肉が抉り取れちゃうから!


 …すっごい対面からジトっとした目が向けられてる気がする。


「…うん、もういいや………とりあえず自己紹介。私はセシリア、神格者の一人…世界樹?って名前でよく知られてる。貴方の事は知ってるから自己紹介しなくても大丈夫…よろしく」

「あぁ、よろしく…」


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「へぇ、この大陸に崩壊の力が閉じ込められてたんだ」

「そっ、だから君には感謝してる…めんどくさい仕事が一つ消えた」


 あれから少し雑談をして今に至る。セシリアさん曰く、崩壊の力を全て俺が取り込むまではセシリアさんが崩壊の力が外に出ない様に特大の大陸を覆う結界を張り、リアが崩壊の力を収束させて結界内に放っていたらしい。


「それで…君はこれからどうするつもり?」

「とりあえずは休もうかなって思ってる…流石に疲れたしねぇ」

「そう…はいこれ、お茶」

「あぁ、ありがと」


 真上のあるデカい木…セシリアさんの本体から枝が伸びてきてお茶が入れてるテーカップが目の前に置かれる。

 飲んでみるが…とんでもなく美味しい。生憎と前世ではお茶は麦茶オンリーな生活をしてたからうまく説明はできないが…非常に飲みやすくて、飲むだけでも凄く心が落ち着く。


 …味噌汁飲みたいな。


「ん………話は終わった?」

「うーん、まぁ顔合わせは出来たんじゃない?」

「分かった…それじゃあこれからは私との時間…ゼノ、行くよ」

「…うん?」

「………しゅっぱーつ」


 どうやらリアは俺をセシリアさんに合わせたくてこの大陸の中央集合にしたらしい…その証拠にちょっと顔合わせして雑談したら即移動させられる。

 …まるであまり親しくない親戚と会った時みたいだ。


 リアは移動手段に転移を使うらしく、椅子の下に魔法陣が浮かび上がって眩く光り始める。


「…セシリアもお疲れ様」

「良いよ別に…仕事だったし」


 そう短く言葉を交わして転移をする。





 …そして転移後のセシリアはと言うと。


「…椅子持ってかれたんだけど」


 転移と一緒に椅子を持ってかれた事に少しショックを———


「あっ、帰ってきた」


 再度眩く魔法陣が光って椅子が現れる…自分で作ったけど結構な力作なのだ。


「にしても…私も伴侶見つけるべきかなぁ」


 正直言ってあのリアさんが幸せそうなのは驚きだし、イチャイチャを見せられたら少し伴侶と言うのも気になってくる…


 …そもそも私(木)に性別ってあるのかな?


 そんな疑問を持ちながらも、今日も今日とてもお茶を飲んで動物と戯れながら過ごすのだった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【質問のコーナー】


 Q.

 話はどのタイミングで書いてますか?


 A.

 割といつでも…書きたいときに書いてますね。


 例えば他作品を読んでる時とかは書きたくなってきますし、暇な時に暇つぶしとしても書いたりします。

 でも大体は夜に眠くなるまで布団で横になりながらスマホで書いてますね。だから深夜テンションで執筆する事もしばしばあったり…

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