第124話 無人都市

(…うーむ、これはなんとも…どうなってるんだろうな?)


 流石に気になったので無断だが家宅捜索を始めた。やってる事は某ゲームの勇者の如く不法侵入+窃盗レベルの事なのだが…そもそも人が居ない都市に法は通用するのだろうか?


 …そもそも法の適用がされない龍ではあるが。


 さて、そんな家宅捜索で見つけた物がこれ…通貨だ。今のこの世界の通貨は創世神らしき人物像と四神の四体の絵が彫られた硬貨が主流である。

 にも関わらず、見つけた通貨は一切知らない人物が彫られた通貨…創世神も四神も全く関係ない。硬貨ではあるがちょっと前世の紙幣っぽさはある。


(いやまぁ、別大陸だから通貨が違うのは当然なのかもしれんが)


 前世だってユーラシア大陸にどれだけの通貨の種類が存在してただろうか…つまりはそういう事だ。国同士で通貨を同じにするのも難しいだろうに、別大陸まで同じ通貨になるわけがないだろうと思ってとりあえず通貨に関しては置いておく。

 …回収する意味も無さそうだし。


 そして次に見つけたのがこれ、とある人の手帳だ。

 少なくともこの手帳のおかげでこの別大陸は言語すら違うのが分かった。言語操作があるから一目見れば読めるし書けるのだが…内容がポエムだったのでこの手帳の持ち主の為にも言わないでおこう。


 いつの時代でも、ポエムは作成されるのだ。

 と言うか、もしかしたら吟遊詩人のネタ帳だったりするのかもしれない。


 そして最後に…真ん中だけ一切記されていない地図。

 言わばこの大陸の外縁に近い土地や地形のみ書かれており、見た感じは近くに港街があったり首都があったりと文化形成されていたのは間違いない。


 真ん中が記されていないのは…おそらく神格者が関係してるだろう。人間じゃ神格者と関わるのは相当無理な話だし、人間たちはこの大陸の中央に立ち入る事は無理だったのだろう。


(とりあえず…調べてみるべきか?)


 地図を収納し、翼を生やして兎をしっかり手で持って空を飛ぶ。確認するのは地図に記されている他の街だ。この街だけこんな状態なのか…それとも他の街もそうなのかを確認しておきたいのだ。


 そして飛んで地図通りに進んでいくと…街があった。崩壊の力による環境変化など一切なかったかの様な街が存在していた。

 …だが人は居ない。


 そして人が居ないからか、一部で火事が起きていた。だが燃えている建物はまるで燃え始めたかの様に原型を保っている。とりあえず急速冷凍させて火を消した後、街を探索するがやはり明らかに人が生活していた痕跡がある。


 一応この街も探索してみたのだが…とある書類を見つけた。見つけた場所はこの街の中心の大きな館…一見城っぽくも見える。


 書かれていた内容はこう…

【島の中央付近に異常気象が見られた。何処ぞの国が神樹様の怒りを買われたのかもしれない。

 今はまだ経過観察。これ以上異常気象が起きる範囲が広がるならば避難も考えるべきか】


【我が国の大陸中央近くの街が飲み込まれた。まるで跡形もなく消え去った。

 民は無事ではあるが、生物以外の物が一切見当たらないと言う報告を受けている。

 …ただの異常気象では無い?】


【…避難は間に合わなかった。異常気象改め、異常区域の拡大速度が早過ぎる。

 いまだ民には情報が広まっておらず、日々の生活に勤しんでいる者もいる。

 例え異常区域に王都が飲み込まれても港町ならば無事だろうか…?最悪、大陸から脱出することも考慮しなけ———】


 …ここで途切れている。しかもすぐ側には先程までこの書類を執筆するのに使っていたであろうペンも転がっている。


 まぁ、何となく予想はついてる。この書類にある異常区域と言うのは恐らく崩壊の力で変化した環境の事であり、この環境変化する場所は一気に広がったと言う事。


 次に恐らく崩壊の力はあくまで大地に上書き保存するかの様に新たな環境を作っていた事。そして下地となった元の大地…今の草原などの豊かな大地はおそらく時間停止されて保存されてた事だ。


 崩壊の力を全て俺が取り込んだ事で上書き保存したデータが消え、バックアップがある元の大地が出てきた…それが1番近いだろうか?正直崩壊の力はいまだによく分かっていないからどんな作用を起こすのか分からないのだ…属性崩壊によって起きる事も違うし。


 時間の崩壊によって生まれた崩壊の力は時属性崩壊とか起こすのだろうか?何それチートの匂いがする。………そもそも時間の崩壊とは。


 ただ、確実にこの大陸に存在する生物以外の物の時が止まっていた事は確実だ。この書類の執筆中に崩壊の力に飲み込まれ、人間含む生物だけあの環境変化地獄に放り出されてこの大陸の元々の大地は全て時間停止した…そうしないと辻褄が合わない気がする。


 あと服がそこら辺に散らばってる訳ではないから、おそらく生物が異常区域に放り出された時は身につけていた物もそのまま放り出されるのだろう。もし着替え中の人が放り出されたとしたなら御愁傷様としか言えんが。


(リアに聞いてみればわかるのかな?それとも何か関係してそうな…書類に書かれてた神樹様ってのが知ってるんだろうか)


 神の名で呼ばれてるなら最上位進化種か神格者だろう…あのエレメントフェンリルではないはず。だって狼だし、割と弱かったし…


(まっ、中央に行けば分かるか)


 地図には大まかな大陸の形と、描かれていない中央部が記されているのだ。大体の位置が分かれば格段と探しやすいだろう…それに神樹様がいるという事は相当デカい木があって分かりやすそうとか思ってたりする。


 と言う事で街の外に出て龍の姿に戻り、いざ中央へと行かんっ!と言うところで兎が急に離れて森の方へと駆けて行った…


(…やっぱり龍の姿だと避けられるのか)


 ちょっとセンチメンタルになりながらも中央目指して飛んでいく。

 良いもん…中央にはリアが待ってるはずだし…


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【質問のコーナー】


 Q.

 手本にしてる作品とかあります?


 A.

 特に無いですね。

 一応その時に読んでる作品に影響されて似た感じの物を無意識に書く可能性はありますが、基本的に手本などは無いです。


 ただまぁ、とある人外転生物作品で非常に読みにくい作品がありまして…それが私が執筆しようと思った原因の一つなんですが。


 ビジュアルの説明もなく、視点が一切の説明無しにコロコロ代わり、妙に行間も多く…尚且つ人心描写も分かりにくいと言う作品がありまして。

 その小説の設定が好きが故に読んでみたんですが…非常に分かりにくくて読んでて虚無になりまして…その作品を反面教師にしてる節はありますね(作品名は忘れましたが)


 …大丈夫でしょうか、私の作品である育りゅうは読みづらかったりしないでしょうか?


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