第116話好奇心は龍をも殺しかける

 崩壊の力の放出が辛い…


 どれだけ放出を経験しようとも、普通に痛いことは変わらないし身体がボロボロになるのが嫌になって来た…


 て事で放出する方法を変えてみた。崩壊の力の操作スキルは無いが、龍の生態と合わせれば一部だけは放出の方法を変えれる事が分かったのだ。


 その放出の方法は………ブレスである。


 元々ブレスと言うのは、その身に宿る属性を魔力で生み出して放出する技と言う感じで【エネルギーの放出】に特化している節がある。

 だからこそ崩壊の力をブレスとして放出出来る事に気付けた。


 まぁ、その崩壊ブレスはちょっとブレスっぽくないのだが…


 丁度崩壊の力が溜まって来たので崩壊ブレスを放ってみる。

 体内に燻る崩壊に力が胃の辺りに溜まり、崩壊の力が喉を通って口へと移動し、外へと放出する。


 胃のあたりや喉の負担がとんでもないが、全身で感じてた痛みが一部だけになった事で結構楽になった。体内の空洞部分で崩壊の力が移動してるのも大きいかもしれない…とは言え胃や喉、口の中は焼け爛れるかの様な感覚に襲われるが。うん、痛い。


 さて、そんな感じで放出された崩壊の力なのだが、今までの全方位放出と違って口からブレスとして放たれた事で一つの方向に放出の方向が決められている。

 そんな放出の方向が一つに絞られるとどうなるかと言うと………崩壊ブレスが直撃した山が綺麗に円状に貫かれた。


 そう、貫通に特化するし直撃した物は跡形もなく消し飛ばしたのだ。しかも貫いた事で出来た穴は龍の姿の俺でも余裕で通り抜けれる程………以前の壊滅術では出来なかったレベルの貫通力と破壊力なのだ。


 もはや破壊光線だと思ってる。崩壊ブレスの見た目は無色透明であり、見えたとしても空間が筒状に揺らいだ様に見えるくらいだ…ちなみにこれに属性を掛け合わせることができ、氷属性なら氷の粒子がブレスに混ざるし炎属性なら燃える破壊光線となる。


 …属性を掛け合わせても結局消し飛ばすから意味は無いと思うのだが。


 とまぁ、ブレスで崩壊の力を放出する様にしてから動けなくなるほどの激痛に意識を大幅に割かれる事もなくなったので改めてこれからは崩壊の力の操作に集中出来る。


 だが放出は出すだけだったし、そもそも暴走時に勝手に放出してたからどう言う感じかはすぐに分かったが、操作に関しては全く分からない。


 ブレスによる放出はあくまで龍の性質と掛け合わせて偶然出来ただけであり、操作とは一切関係無い。

 いや、胃と喉と口を経由させて外に出す事が出来たのだから少しは操作できてるのだろうか?出来てたとしてもどう言う原理で出来てるかが分からないが。


 取り敢えず試しに氷炎や罪化、霊化を寛容の権能で崩壊の力に混ぜながら試してみる…


 氷と炎はブレスの時に混ざった様になったがそれだけ…制御はできずにそのままブレスとして放出された。


 次に罪化…なのだが、混ぜようとした瞬間に罪の力が崩壊の力を弾いてしまった。と言うか寛容の権能すらも弾いている…霊化も同様に弾いてるし霊化も罪化も無理なのだろうか?


 でも崩壊化破壊術のスキルの付与ならば特に弾く現象も起きないし、しっかり罪化も適用される…一体どう言う事だろうか?


 弾くのならば使用は不可と言う事で別の方法を探すしかない。


(とは言え属性を混ぜても崩壊の力に色が付くだけだし…どうすれば良いんだこれ)


 結局操作する手掛かりを見つけれずにブレスとして何度も崩壊の力を放出し続ける。


 そんな日々を過ごしているうちにこんな事を思った。


(壊滅の力の放出…体内に放出したらどうなるんだろう?)

 と…


 いや、こんな事を考えるのは自分でも馬鹿だとは思う。でもずっと痛みに耐えながらも操作の手掛かりも分からずに居ると考え方も少しはバグると言う物だ。


 だからふと気になった事を実行したくなったのだ。


 体内に放出すると言うのは、崩壊ブレスの時に胃に溜まる崩壊エネルギーがあるだろう…あれを喉ではなく、そのまま体内に放射すると言う事だ。本当は崩壊の力を逆流させてみたくもあったのだが、それは操作スキルが必須だし諦めた。


 崩壊耐性のレベルも800代になり、身体の崩壊エネルギーの許容量も最初に比べれば大幅に上がった。痛みも割と軽減されているのだから余裕を持って体内で崩壊の力を放出させればきっと大丈夫だろう。


(よし、やってみるか)


 好奇心に任せて体内に崩壊の力を放出する。

 すると一瞬だけ放出していない崩壊の力が揺らいだと思えば、すぐに何事もなくなる…何も起こらない?


 不思議に思いながらも少し身体を動かした瞬間、動いた身体の部分からとんでもない痛みが走り、そのまま連鎖する様に痛みが全身へと広がっていく。


『————っ!—っ………ァ…ガァ…』


 とんでもない激痛に最初は声にならない様な悲鳴をあげたが、じきに声すらも出せなくなる…

 まるで全身が全て崩壊する様な…そんなバラバラになる感覚が常に襲い、もはや思考なぞ出来なくなり、身体も動かせずにその場でひたすらに身体を地面に伏せながら痛みを耐え続ける。


(もうダメ…せめて、せめて少しでも崩壊の力を外にっ…!)


 もう思考も痛みでまともに出来ず、ただひたすらに痛みを発生させている崩壊の力を体外に出そうと本能で動く。


 体内にある崩壊の力を弾く性質を持つ大罪の力や霊力で押し出して体外に吐き出したり、崩壊ブレスにして口から漏れ出るように吐き出したり…


 そんな感じで必死になって…本当に死にそうになりながらも全力で崩壊の力を吐き出しているうちに、無意識に体内に流れる崩壊の力が段々と分かっていき、大罪の力や霊力を使わずとも外へと吐き出せる様になって来た。


 そしてそんな激痛がどれほど続いたか分からないが、ようやく収まって俺は身体に回復を施す。


 本当に死ぬかと思った…精神的に死ぬかと思った。


 まさに好奇心は猫をも殺す…今後は気になっても馬鹿正直に試さないようにと誓うのであった…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あとがき


皆さん普通にセンス良いですね…2、3個案届けば良いや程度に思ってたら滅茶苦茶飛んできてビックリしてます。


あと進化案はそのまま使う可能性もあれば、少しアレンジする事もありますのでご了承を。(アレンジとは言っても結構原型は残るでしょうが)


…思った以上に進化名案の数が多いんですよね。まずは案のメモからだぁ。

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