第114話 第一崩壊制御スキル:放出

 さて、現在動かす度に痛みを訴えて来る身体を無理矢理動かしながら歩いているのだが…この地は地形を覚えるも何もないとよく分かった。


 何せ辺りに満ちる崩壊の力のせいでほんの数分後ぐらいには景色が地形諸共一新されるのだ。もはや天変地異どころではない…環境創造みたいな物だ。


 そんなトンデモ地帯ではあるが、割と魔物は見かける。ウサギもいれば、コウモリも居るし牛や馬も居る。

 空を飛ぶ鳥や虫などは全くいないのだが、陸上生物の魔物なら大抵居るのだ。ほら、あそこにクマが居てウサギを狩っている。


 だがそんな魔物達でも俺がちょっとでも近付けば即逃げていく。それもしょうがない…龍なんて居れば生きる為に逃げる選択肢もするだろうし、しかも今の俺は崩壊の力を制御出来ていなくて暴走していなくとも常に微量の崩壊の力が漏れ出ている状態だ。


 この辺りに満ちる崩壊の力は何気に魔物には何も効果を発揮していない…発揮するのは環境変化だけである。とは言え異常な環境の中で育った魔物の大半は非常に逞しく、大体が何処ぞの亡帝国地龍レベルのステータス以上だ。


 …俺に近付いたら漏れ出てる崩壊の力に当てられて死滅するが。

 俺が放出する崩壊の力はどうやらとんでもない破壊の性質に変化してるらしい。今の所触れる物全てが破壊されている。


『痛っ!…ふぅ、これ制御出来るのかなぁ』


 何度も暴走時の激痛に耐えたからか、もはや非暴走時の身体の痛みなんて全然痛くないと思えるほどに感覚麻痺して来ている。暴走時の激痛も最初の頃の暴走に比べれば断然痛くない…成長はしているのは分かるのだが、いかんせん暴走はするし操作できる気もしない。


『崩壊化破壊術を使っても崩壊の力を操ってる感じはしないしな』


 おそらくリアに獲得しろと言われた崩壊の力を制御するスキルは、崩壊の力を付与したりして扱うのではなく崩壊の力をそのまま扱うスキルと言うことなのだろう…つまりは今の暴走したりしてる時に放出している崩壊の力を操作して攻撃に転用できる様なスキルと言う事だ。


 その為に必要なスキルが崩壊の力の【操作】と【放出】、あと耐える為の【崩壊無効】…なんとも長い道のりだ。

 ………おっと、どうやら暴走の時間らしい。


『グッ——っ!ガアアァァァッ』


 暴走時の痛みはとても立っていられる程ではなく、身体を地面に伏せさせる。まるで内側からぐちゃぐちゃにされたにも関わらずに全身を引き裂かれそうな感覚に襲われながらも身体に溜まった崩壊の力が抜けていくのを耐え続ける。


 本来ならこの暴走中に放出されている崩壊の力を操作する練習をするべきなのだろうが、とてもじゃないがそんな余裕は無い。


 定期的に訪れる激痛に精神がまいりそうになるが、そう言う時は必ずリアの笑顔…微笑みを思い浮かべて耐えている。そう、これも全てリアの隣に立つ為だ。


 そうこうしているうちに約1週間ほどだろうか?ようやくとあるスキルが芽生えた…それが、【放出:崩壊】。


 ステータス上での表記だと【収束・放出:崩壊】となっている。おそらく操作スキルを手に入れたら同じ様に表記される事だろう。

 さて、この崩壊放出のスキルなのだが暴走時に起こるあの崩壊の力の放出を自分の手で起こすと言う物だ。操作のスキルを持っていないから全方位に放出するしかないし、崩壊無効の耐性も無いからしっかりと痛い。


 とは言え限界まで溜まった崩壊の力を一気に放出する訳ではないため、暴走時に比べれば幾分か痛みはマシだったりする。でも痛い物は痛い…表面の鱗や外殻の一部も弾け飛ぶし。


 そして現在の崩壊耐性のレベルは637。本当にレベル上限は何処だろうか?ただ、レベルが上がっていく事で暴走ラインまで届くのに時間が掛かる様になったし、放出する時も痛みが軽減されている。やはり耐性というのは大事だと痛感する。


 痛みも軽減されたと言う事で普通にそこら辺を歩いているのだが、やはり魔物達は逃げていく。草食っぽい奴らは勿論のこと、肉食っぽい豹みたいな奴やライオンっぽい奴…ワニっぽいのだって一目散に逃げている。なんと言うか…ちょっと悲しくなってくる。


 何もしてないのに犬や猫に異様に怯えられて逃げられてる気分だ。せめて突っかかって来てくれれば戯れれると言うのに………俺に触れたらおそらく触れた生物が死ぬと思うが。崩壊の力は物騒なり。


 そしてまた環境変化…今回は大地が隆起し、それらが氷を纏う事で氷に閉ざされた山岳が出来上がった。所々でツノ持ちの魔物達が氷を削って氷の奥にある植物などを食べているのが見れる。


 そんな中で俺は常に崩壊の力を放出しながら手探りで操作する術を探していく…失敗する毎に近くにある山が崩落していくのはご愛嬌と言うことで許してもらいたい…


 まぁ小山の一部が抉れても別に大丈夫だろう…どうせ環境はすぐに変わるし、この程度の地形変化はこの地に住む生物にとってはなんとでもないだろう。


 そんな地形破壊を何度も起こしながら何度も試行錯誤を繰り返す…この痛みにも慣れて来たが、さっさと崩壊無効の耐性を手に入れて痛みとおさらばしたい物だ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あとがき


ふとこの作品のワークスペースを見てて思うんですよね…「よくこんなに書き続けられてるなぁ」って。

今話でもう114話目、文字数で見れば約28万文字。


本来の私って結構飽き性なんですよ?ゆっくり実況作成は大体5話ほど作って辞め、絵の練習もトレスを一枚だけして終わり。

ゲームだってコンプせずに終わる事も多いですし。


そう思うと…結構自分にとっての執筆活動の長さは結構凄い事な気がしてます。

この物語を書き始めた頃は2、3週間程度書き続けれたら上々、その後はおそらく書くことは無いだろうと思ってたんですが…しっかり執筆活動が楽しいと思えれば案外続く物なんですね(シミジミ…)


育りゅうはもう既に後半戦に入っていますっ!あと残り少ないかもですが応援よろしくお願い致します!(とは言ってもまだ40〜60話程度は書きそうですが)


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