第113話今居る場所の環境と姿形

 全力で怠惰の権能による体力の回復と、強欲と暴食と傲慢の権能による辺りにある物の生命力喰らいをしながら崩壊の力の制御をし続ける。


 割と早いうちに自己超速回復・体力と怠惰の権能の超速回復では崩壊の力による体力の削りに負ける事に気付き、なんとか試行錯誤して奪う事に特化した強欲の権能と吸収する事に特化した暴食の権能とステータス干渉が出来る傲慢の権能の合わせ技で周りにある植物等から生命力を奪う事が出来、無事に崩壊の力によるダメージを超えれる程の体力回復が出来るようになった。


 コツは崩壊の力の暴走によって植物諸共生物全てが破壊される前に喰らう事だ。

 そしてここで崩壊の制御に必死になっているうちになんとなくこの場所がどんな場所なのかが分かってきた。


 人間の世界の資料では天変地異が起きる場所としか知られておらず、また挿絵等も遠目で見た程度しか存在していない人類未到の地である別大陸………近づこうと思えば荒れ狂う(航海が出来ないレベル)海が拒み、空から近づこうと思えば荒れ狂う(ほぼ確実に雷が直撃する)天候に阻まれて上陸する事が不可とされている場所だ。


 この場所はまさに天変地異の名に恥じない特徴を持ってる。それが高頻度で起きる環境の変化…それもただ暑くなったり湿気が増えたりするのではなく、地形すらも簡単に変えてしまう変化だ。


 ちょうど今から環境変化が起こるらしい…辺りに満ちる崩壊の力の活性化を感じた。


 先程まで全面浅瀬と化していた環境は、突如として凍ったかと思えば発火して大地が出来上がった…そして小さい雑草が生えて草原が出来たかと思えば空に雷雲が生まれ、そこら中に雷が降る環境へとなった。


 …今回の環境ガチャは雷地獄らしい。とは言え草原になっている以上当たりではある…生命力喰らいで回復出来る環境は全部当たりだ。

 ハズレを挙げるならば砂漠とか魚の居ない海とか…地面が一斉に隆起して洞窟化するとか言うのもあった。


 もはや自然がお遊びで変えられている様にしか思えない…だがこんな環境であっても魔物は案外生きている。環境に適応とか言う次元では無い気がするが、逞しすぎるほどに生きているのだ…雑草もびっくりである。


 そしてこの環境変化はこの辺りに満ちており、先程から俺の身体で吸収して暴走して放出を繰り返している崩壊の力が原因だ…おそらく人族の進出を拒んだ荒れ狂う海や天候も崩壊の力が原因だと思う。


 そんなとんでもない環境変化を経験しながらも数日が経過し、ようやく崩壊の力による激痛や身体の消耗が抑えられて来てなんとか身体は動かせれる様になってきた。とは言え戦闘と言った激しい運動は絶対に出来ない………さながら怪我人だ。いやまぁ、崩壊の力の暴走のせいで重症である事には間違いないのだが。


 現在の崩壊耐性のレベルは273、本来は大抵のスキルはレベル100が上限のはずなのだがこのスキルは一体何処までが上限なのだろうか…?世界の理を判決の理で情報を覗いてみたが記されて居なかった。


『痛っつ…身体を動かすだけでも激痛が…』


 耐え続けるのも大変ではあるのだが、少しでも身体を動かしたい…ここに来てからの数日はもはや寝たきり生活も同然だったのだ、痛みを我慢しても起き上がってみたい。


 と言う事で痛みに耐えながらも身体を起こすと、自身の骨格の異様さに気づいた。

 原型はアームズやアーセナル同様の4本の脚に発達した翼脚…なのだが、翼脚の発達具合が異常なのだ。


 異常に発達した翼脚は今現在、前脚として機能している。つまりは後脚と翼脚で立っており、体制は背中を反らして腹を前面に出している…これが胸を張るって言う奴なのか?


 ちなみに前脚は宙ぶらりんである…この体制じゃ前脚を使う事がなくて凄く手持ち無沙汰感がある…前脚にガトリングでも括り付けた方が良いだろうか?

 とはいえ前脚もしっかりと発達しており、身体を支える事が出来るのだが、翼脚がデカ過ぎて収納出来ないせいで前脚と後脚で立ったとしても必ず翼脚も地面に付けることになって六本脚体制になるだろう…


(でもこの体制、案外良いじゃん)


 背中を反らし、腹を見せてるこの体制だが案外好きだったりする。まず視点が高く、非常に辺りを見渡しやすい。普段は四本脚で身体を支える…一般的な獣などの…人で言うと四つん這いに当たる体制なのだが、今のこの腹を出す体制は人の二本脚で立つ姿勢に近い。


 それに今のこの立ち姿勢ならば、普段の伏せ姿勢とは違って自身の身体の真下に潜り込まれようとも攻撃がしやすいのだ。この体制…案外便利では?

 骨格の異常に気付いた瞬間に身体構築変化で壊滅龍の姿に戻ろうと思ったが、これは変えなくても良いかもしれない…骨格自体はアーセナルドラゴンと同じだから戦闘もしやすいだろうし。


 とは言え…今の俺の姿はまるで亡霊龍みたいな感じだ。外殻や鱗が所々剥がれ落ち、ボロボロの姿でありながらも特徴的な骨格でしっかりと地面に立っている龍は不気味だと思う…やっぱりこのボロボロ具合はなんとかしたい。


 …早くこの崩壊の力を制御出来るようにしないとな。


 激痛と共に周りにある物全てに手当たり次第崩壊の力をぶつけまくるこの身体を動かしながら歩いて行く。


 なんと言うか………歩く災害になった気分だ。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき


 今のゼノ…普通に歩く災害ですけどね。


 さてさて、今回の姿形は説明しても分かりにくかったと言う方々の為に非常に分かりやすい…調べれば「あぁ〜!こんな感じなんだ!」と分かる例をお出ししましょう…


 今の主人公の姿の例は…「巨戟龍きょげきりゅう:ゴグマジオス」です。


 と言うかゴグマジオスがモデルです。

 やっぱりマガラ骨格って良いですよね…アームズやアーセナルドラゴンはゴア/シャガル・マガラをモデルとしましたけどいつかはゴグマジオスっぽい姿にさせたかったんですよね〜


 あっ、重油とかのドロッドロした物はゼノ君は出しません。その代わりに出すのは辺り一帯を無差別に破壊する崩壊の力です。

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