第86話壊滅による破壊

 さて、実戦で使ってみるとは言ったが正直そこら辺の魔物に使ってみてもおそらく試しにもならないだろう。もしかしたら掠っただけでも殺してしまう…壊滅術を使ったら弾け飛んでしまうかもしれない。


 と言う事で良い感じのダミーを用意しようと思う。


 やる事は簡単で、罪化した錬成でそこら辺の土をいい感じに俺の姿に似せて、後は俺の鱗や殻をその上に貼り付けてあとは適当にスキルを付与するだけだ。


 それだけで完成する。


 さて、出来たダミーだが…おそらく遠目で見れば俺がもう一体居るように見えるだろう。

 よく見れば所々違う部分があるが、一見本物に見える…と言うより俺の剥製って方が近いかもしれない。


 ちなみに上手いことスキルを構成して付与したため、壊れても再生するようにしている。


 ちゃんといい的が出来たところでさっそくスキルを試してみようと思う。

 まずは創作技術…と行きたいところだが、創作技術は正直あまり機微技術と変わらない。汎用性が広がった機微技術なだけである。


 て事で次、空間支配系を飛ばして攻防変換を使おうと思う。

 まずは攻撃力を0にした状態でダミーに切り裂いてみる。………一切傷付いていない。防御力があるため、こちらに反動ダメージみたいなのは無いが、本当に切り傷一つも付いていない。


 なんだろうか…羽毛布団で殴った方がダメージが出ると思う。

 そして新発覚なのだが、攻撃力を0にした場合はその場から動けないと言う事だ。


 移動スピードとかは攻撃力依存なのはなんとなくわかって居たのだが、攻撃力を0にした場合だと一切動けなくなるとは思わなかった。


 移動=地面を蹴ると言う事であり、つまりは「地面を攻撃する」と言う事になるのだが、その「地面を攻撃」するための攻撃力が無いために動けないのだ。


 身体は動いてくれるのにその場から動けない…前世の知識がある故に全く原理が分からなくて脳がバグりそうだ…


 て事で攻撃力0は、おそらく不動状態になってもいいから防がなきゃならない攻撃が来た時にしか使えないだろう…せめて防御特化だとしても攻撃力1000は欲しい。


 ちなみにこの攻防変換だが、意識して使ってる間だけ効果があり、特に変換する気が無い場合は勝手に元のステータスの数値に戻る様になっている。


 次は攻撃力特化で試してみる。一応攻撃力0の時の反省を生かして防御力は1000ほど残しておいておく。


 攻防変換をして、ダミーに向かって思いっきり突進をしてみる。ダミーの防御力は俺の防御力が参照されているし、物理耐性もしっかり付与されている。


 ……ハズだったのに、突進したところがしっかりと凹んでいる。外殻はヒビ割れ、鱗は所々剥がれ落ちて内部の土が見えてしまっている。


(これは凄いな…どうしても火力が欲しい時に凄い使える)


 勿論防御力が低くなると言う分かりやすいデメリットがあるが、どうしても火力が足りない場合は滅茶苦茶使えるスキルだろう。

 …それともし一切の容赦を捨てて殺意MAXで攻撃する時とかに、とんでもない事になりそうなのも確定した。



 さて、次は本命の壊滅術だ。

 ある程度ダミーが修復された所で、とりあえず炎ブレスに壊滅術・集を付与して放ってみる。


 するとさながらレーザーみたいな1本線がブレスとして出たので、ダミーを切るように動かしてみる………すると、ダミーが綺麗に真っ二つになった。


(あの…これ刃物じゃなくてブレスなんですけど)


 切断面が非常に綺麗だ。鱗や殻が綺麗に切れて、内部の土は切断面が溶けている。ウォータージェットで出来る切断加工、アレを炎でやった感じである。…炎に圧力は無いはずだからおそらく溶かしてると思うが。


 ちなみに氷ブレスで再度やってみたが、炎ブレスよりもより綺麗に切れた。切断面に氷の膜が出来ていてかなり綺麗だった。


 そしてこの壊滅術・集なのだが、結構集結具合を調整出来るらしい。

 人が屈んで通れるくらいの大きさから、裁縫の針糸レベルの大きさまで出来る様だ。


 とまぁこんな感じで壊滅術を調べてみた結果、なんとなく分かってきた。


 この壊滅術・集だが、おそらく衝撃の分散を無くしてひたすら一点集中したまま攻撃してる感じだ。

 柔道で受け身をするのは衝撃を分散させるためとか聞いた事あるが、あれを常に受け身をしないどころか、ひたすらに肩の一部分とかで全ての衝撃を受け続ける感じなのがこの壊滅術・集だ。


 …うん、殺意が高い。もし脳天にこの壊滅術・集を使った技を使えばおそらく脳を貫通して即死させてしまう。


 さて、他の壊滅術だが…


 まずは散。


 ダミーに向かって至近距離でアイスショットを放ってみる。


『ダアアァァァァン………』


 とんでもない打撃音と共にダミーが吹っ飛んでいったのだ。

 飛んでいったダミーを見ると、アイスショットを放った所にあった鱗や殼はボロッボロになっており、もはや防御の意味を成さなくなっている。ただダメージ自体はそこまで出てない様なので、おそらくこう言った防御のための殻や鱗と言った装甲の破壊や、距離を取るための吹き飛ばしに使う技なのだろう。


 とはいえダメージが低いわけでは無い…ただ単に「集」よりも劣ると言うだけだ。付与された壊滅の火力補正で普通にアイスショットを撃つよりも火力が出ている。


 次は壊滅術・波…なのだが、ダミー相手ではあんまりよく分からなかった。アイスショットや氷ブレスはさながら雪崩みたいな感じになったが、直撃したダミーにはあまり効いてなかった。

 その代わりに範囲内(かなり離れた場所)にいた狼型の魔物は氷漬けになっていたが。


 この事から相当なステータス差が無いとこの波は効かないのだろう…と言うか明らかに火力不足って感じだ。


 その代わりに範囲が滅茶苦茶広いが。凄い広範囲だから、あの砂漠でやった全方位に霊化罪氷を放出した奴…あれを壊滅術・波を使ってやれば人間の王都丸々飲み込んで凍らせれそうな感じなまである。


 空間支配もやってみたけど特に空間支配をした結果が変わるわけでは無いので特にコメント無し。


(さてと、確認も終わったし美味しいものでも食べに行こうかな〜)


 ダミーを解体して、鱗と殻を収納してから人化する。

 以前の人化とは違って、人の姿に角・翼・尻尾が生えた龍人スタイルだ。


「どうせなら歩いて行くか?砂漠とか地下以外の自然の景色も堪能したいしな。て事で出発だな、目的地は………聖国かなぁ」


 確か以前地理の本を見た時に帝国に近い国だったはず…そう思いながらその聖国へと歩いて行く。

 どんな国なんだろうか…そう思いながら。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

はい、冰鴉です。


実を言うとこの作品以外にも姫竜(仮略称)を書いてるのを知ってる方も居るでしょうけど、別でシチュエーションボイスの台本も書いてるんですよね…


毎日投稿の作品一つと、3日に一話投稿の作品一つと、不定期投稿のシチュボ台本…もしかしてこれ維持するのって大変だったりする?

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