佐藤家には多重人格者が多いです。
@takahashi303
第1話 佐藤ミライの中にはカルシファーがいる。
この世界には能力者と呼ばれる人が存在する。その中で最強と言われているのが佐藤家。まずは次男のミライから。
「コケコッコー」佐藤ミライのスマホはそんな音を上げながら、ブルブル震えていた。
目を瞑ったまま手でスマホを探す。ニワトリの声は止み、ミライはその体勢のまま眠りについた。
十分後…
「コケコッコー」となるスマホから出るニワトリの声はやっとミライの耳に届いた。
それと同時に「もう学校行く時間よ。」とドアの外から母親が起こしに来ている。「もう起きてたよー」とドア越しに嘘をついてから、準備をし家を出た。
街の中心部にあるミライの家は通っている中学校から近く徒歩15分ぐらいだ。会社に徒歩で向かう社会人、学校に行く小学生、平日だと言うのに普通に買い物に行っているカップル、そんな人で街はいっぱいだった。
ミライの行っている学校は全国から人が集まる附属中学校で地方から来ている人はその学校の寮に泊まるか土地が高いため少し外れた下町に家があることが多く通学路に同じ制服を着た人はほとんどいない。
「おはよ。昨日のテストどうだった?」こいつは本田カルマ。小学校からの友人で同じ中学校に受験して合格したちょっと頭のいい人で現在は違うクラスになってしまった。
「まあまあ。」カルマはニヤッとして「いやいやーミライさんはどうせまあまあとか言って満点なんでしょ?」
そう。ミライは基本的には小学校の時からテストの点数は満点であり、ミライは遺伝子だから仕方ないとか変な言い訳をする。それは頭の悪い奴が言う言い訳だ。
「もしかしたらね。ていうか時間やばいぞ。」ミライの腕時計は8時30分を指していた。先生が一つの教室に1人ずつ入っていく。
「あやべ。じゃあな。テスト帰ってきたら見せろよ?」とクラスのみんなに聞こえる声で言ってでていった。
ミライは入学して最初のテストで一位だったため今回のテストも一位か!?と期待されている。ミライはそれにうんざりしていた。テストを受けているのは別の自分だから。
昼までテストの解説をされるだけの授業を受け終えてミライは1年1組からカルマのいる1年4組まで向かった。
教室の入り口に行くとカルマが手招きしてくる。それに従いカルマの席の近くの人の椅子を借りて、カルマの席に昼食を広げた。
「お前どうせ100点だったんだろ?」「ああ。」今日返ってきた3教科は全部満点だった。不安があった教科もあったが結果がこの通りで少し安心する。カルマはため息をついた。
「お前いつになったら俺に一位取らせてくれるんだ?」小学校の時から2人は勉強だと一位二位と並ぶコンビだった。
「どうだろうな。て言うかまだわからないぞ。返ってきてない後2教科は低いかもしれないだろ?」カルマは疑った目をミライに向ける。「それ言われていっつも全部満点だったじゃん。」
「いや今回はほんとにそうだ。」ミライの真剣な顔にカルマは戸惑いを隠しきれておらず、慌てた様子で厚焼き卵を口に放り込んでいた。
その時はやってきた。ミライより名簿番号が早い人の反応は結構よく「簡単だったよな?」などいい合っている。
ミライの番。返ってきた紙には、89と赤い字で書かれていた。
「やっぱり。」
もう一つのテストは99点だった。
先生には心配されたし近くの仲良くなったばっかりの人にも前回と比べてどうだとか色々言っていた。すぐこの話は学年中に広まるだろう。
「おいミライ。お前どうしたんだ。」カルマは一刻も早く噂を聞きつけ昼には1組に弁当を持ってきている。
「どうしたも何も昨日言ったろ低いって。」カルマは呆然として「ほんとだったんだ。」とこぼすように言う。
「今回俺は国数英社理の順番で99、100、100、89、100だったよ。」カルマは何かに気づいたように「俺は95、100、96、99、98。」ミライも気づいたように「同じだ。488点。」
「そう。喜ぼうにも喜べないな。」
「いや喜べよ目標だったんだろ一位。」カルマは席を借り落ち着きたいがために座った。
「いやまず点数勝ってない。そしてなんでミライは点数が低いであろうことわかってたの?手抜いた?」と言いながらふたりとも弁当を出して食べ始めた。
ミライは深刻な顔して言う。「そう言うわけじゃないんだけど、俺まだ言ってないことあるんだ。カルマに。」
カルマは何にもピンときていない顔だ。「何?」
「俺前からテスト受けた時の記憶がないんだ。」
「それどう言うこと?」
「テストはじめって言われてからの記憶がないんだ。気づいた時にはチャイムが鳴ってて回答用紙には全部正解の答えが書いてあったんだ。」
「そんなことあり得たとしてそれは何が起きているんだ?」
少しずつミライたちの会話が教室に響き渡るようになっていきかなり酷い目で多方面から見られた。カルマもヤベッという顔をしている。そりゃあテスト基本満点のやつが自分で解いてないとか色んな人を敵に回すに違いない。
カルマですらだ。だがカルマは関心を持って聞いてくれた。とってもいいやつだ。
すると、『こんにちは佐藤ミライさん。私はカルシファーです。』とても綺麗な声。ミライは周りを見渡す。誰もミライの方は見ていない。「おいこの声聞こえるか?カルマ。」カルマは顔にはてなと書いてあるような顔で首を傾げる。
「何言ってんだ?ミライ。テスト低くて頭おかしくなったか?」
「大丈夫だ。」『黙って聞いてください。テストのことは話さないでください。』ぼーっとしているミライに「おいミライ大丈夫か?」『テストのことは黙っておいてください。』
頭がパンクしミライは椅子から落ち、意識を失った。
『ミライさん起きてください。』「ミライー起きろー。」カルマとカルシファーの声が重なる。「はぁっ。」と飛び上がると保健室のベットだった。「何時?」「17時」とカルマは答える。「お前なんか変なこと言って倒れたんだぞー心配させんなって〜」「ああ悪い。」
あれはなんだったんだろうか。あの声。ミライの脳内に話しかけていた様子だった。「俺は帰るぞ。ありがとなカルマ。いてくれて。」「おう。」と言いミライは保健室を後にした。
「おーいカルシファーさーん。テストのこと誤魔化すから出てきてよー。」さっきからミライはこの調子だ。「ずっと気になってるんだよ。なんなんだあなたは。」するとミライは何かわかったように目を閉じて集中した。『カルシファーさんミライです。佐藤ミライ。』『はい。カルシファーです。こんにちは。』どうやら心の中で呟けば伝わるらしい。ミライは喜んだ様子で『カルシファーさん。あなたはなんなんですか?』この状況はなんなんだ。ミライはこのおかしな状況を普通に受け入れている。ミライの目はもう開いていた。『私はあなたの中にいる、人格です。』
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