第10話 RADIANT LAUDATORY COUNTRYについて

 大学時代の友人五人で結成されたRADIANT LAUDATORY COUNTRYは色々あって今はメンバーが二人になっている。

 伊勢雪之丞と柩秀吉のどちらも自ら相手を引っ張っていくタイプではないのでリーダー向きでは無いと思われていたのだが、両名ともソロで活動している舞台やミュージカルではリーダーシップを発揮する場面も多く意外な一面を見せることがある。

 中学からの友人であった二人だからなのか、二人だけでいる時は少年のように無邪気な一面を見せることも多く、ファンの多くはそんな可愛らしい二人の姿を見ることを楽しんでいる。他の人達と関わっているときの年相応の振る舞いをする二人の事も当然のように応援しているのである。


 伊勢雪之丞は髪が長くミステリアスな印象を与えがちなのだが、自分たちを応援してくれるファンの事を大事に思っている。古参新参問わず誰とも仲良くなりがちで柩秀吉やマネージャーに止められなければ何時間でも話してしまいそうな空気を出している。男性ファンが運営するファンサイトの企画でオンライン上で一緒にゲームをやっていたりもしていた。

 柩秀吉は短い髪と鍛え上げられたからだからワイルドさを感じてしまうのだが、実際は母親以外の女性の目を直視することが出来ない恥ずかしがり屋なのである。女性ファンの間では柩秀吉と一瞬でも目が合わせることがライブを見に行った時の目標とされることも多いのだけど、柩秀吉はファンの女性を直視することが出来ないだけで実際は多くのファンの顔を見ようと心掛けているので目が合う瞬間は意外と多かったりするのだ。

 二人で飲みに出かけている様子も頻繁に目撃されているのだが、柩秀吉が女性と話すことが苦手なこともあってその様子を少し離れた位置から見守るという構図が出来上がっている。個人へのサインは事務所から止められているので断ることになるのだが、一緒に写真を撮ることは禁止されていないので常識の範囲で一緒に写真に写ることはある。

 余談ではあるが、フォトスタジオ零楼館の専属カメラマンである鈴木愛華も三人で撮った写真を大切に保管しているのだけれど、プロカメラマンである自分が何の計算もされていない普通の写真を大切にしていることが恥ずかしいらしく誰にも自慢することが出来ないそうだ。


 現在は伊勢と柩の二人で定期的に開催している舞台公演の他はソロの仕事が多いのだが、仕事の合間を縫って配信活動やファンとの交流も積極的に行っている。

 配信内容としては会員制のサイトに登録しているメンバーと色々なゲームを一緒にプレイしている伊勢とお酒を飲みながら雑談配信をしている柩という形をとることが多い。時々二人でゲームをやりながら飲酒雑談を行ったりもするのだが、その時はどちらも集中することが出来ずにグダグダな状態でマネージャーからストップがかかることが多い。その様子を見守ることが好きなファンも多く、マネージャーとしては二人の失態を喜ばれることに少し葛藤があるようだ。

 ちなみに、今のマネージャーは二人が事務所に所属してからの付き合いになるのにもかかわらず昔から知り合いかのようにしているのでファンの間では三人目のメンバーとして認識されていたりもする。顔出しや声出しは意図せずに行っていることも多いけれど、歌とダンスは絶対に人前では披露することはない。

 鈴木愛華と栗宮院うまなの二人は伊勢のゲーム企画に参加して一緒にゲームを何度かプレイしていたことがあるのだが、お互いに本名で登録しているわけではないのでその事は知る由もなかった。二人ともそこまでゲームが上手いわけではないので伊勢の印象にはあまり残っていないが面白い動きをしていた人がいたという事が記憶の片隅に残っていたそうだ。

 柩の飲酒雑談にも同時に参加していたことのある鈴木愛華と栗宮院うまななのだが、当然その事は二人とも知るはずがない。鈴木愛華も柩のペースに合わせて一緒に飲みながら配信を見ているのだが、そこまでアルコールに強くない鈴木愛華は配信の途中で寝落ちしてしまうことが多かったようだ。栗宮院うまなは未成年なので飲酒はせずに酔っ払いの様子を観察していたけれど、配信も後半になると視聴者数と比べるとコメントが少なくなっていることを不思議に思っていた。その時間帯であれば何度かコメントを読んでもらえるという事もあって終了間際の時間が一番幸せな時間だと感じているようである。


 もともとRADIANT LAUDATORY COUNTRYはメンバー五人と撮影企画を行う一人のスタッフで活動していたのだが、唯一円満に卒業した内藤翔斗は大学卒業と同時に家業を継ぐ関係で脱退したけれど陰ながら二人の活動を助けていたりする。時々ファンイベントにも参加することはあるのだけれど、元メンバーではなくファンの一人として他の人が聞きにくい質問をして二人を困らせることもあったりするのだ。

 元メンバーの山田川一樹と高嶺京司は事務所との契約直前に複数の違法行為が発覚して脱退することとなった。

 山田川と高嶺が行っていた違法行為の詳細は公になってはいないのだが、一説によると未成年のファンに手を出した時に違法薬物を使用していたという話や飲酒運転で重大な事故を起こしたという話も出ている。伊勢と柩と違い女性ファンとの交流を積極的に行っていたこともあってそのような噂が広がっているのだが、誰もその噂を否定することが無いため真実なのではないかと思われている節がある。

 真相を調べようと取材をしていた記者もいたようなのだが、なぜかその記者たちはみな取材活動を途中で止めてしまうことがほとんどのようだ。男性記者のうち何人かは二人のファンになっているようで、ゲーム配信や雑談配信にコメントを残しているのであった。

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