第41話好矢見町にある神社・2
一週間後────。
早瀬クミ子は夕暮れ時の好矢見町に来ていた。
「・・・・・・何でアタシがこんな所に来なきゃいけないんだよ・・・」
クミ子はぶつくさと文句を言いながら、行くように言われた場所へと向かう。
一週間前、転校生の高森カナエの家族と話し合いをさせられた。
此方としては何も話す事なんて無いのに、イジメていた事がバレたせいで自身の両親も呼ばれ、担任や校長も交えての話し合いだった。
謝ってやったのに許してもらえず、あまつさえ両親からも叱られた。
何が一番ムカついたかと言うと、クソババア────カナエの祖母が、好矢見町のもう既に無い筈の神社へと行って来いと言って、本当に行く羽目になったからだ。
クミ子、吉田、内山は順番にひとりずつ行かされた。
指定された場所はちゃんと神社があった場所で、言わば神社の跡地だ。其処は、いい加減な事を言ったクミ子と違う所である。
跡地には祠がポツンとあるのみで、其処へお札を納めてこいと言われて最初は吉田、次に内山。そして最後にクミ子だ。
吉田、内山は学校を休んで午前中に行ってきたのに対して、クミ子は行きたくなくてグズグズしていたせいで、学校終わりのこんな時間にやって来ていた。
一応、母親に車で神社の近くまで送ってもらい、簡易的な地図ではあったがそれを頼りにして歩いて行く。
事前に渡されたお札を手にてくてくと歩きながら、どんどん暮れて薄暗くなって行く町の様子に不安になってきていた。
アタシも学校休んで午前中に行きたかったのに、パパもママも許してくれなかったし、マジサイアクッ!
どの時間に行っても一緒だ、なんてクミ子の両親は言っていたが、お札なんてその辺に投げ捨てて帰りたくなる程度にはもう既に怖い。
学校終わりでもさっさと行けばまだマシだったのに、グズグズしていたからこんな時間になったのだ。
それにしても・・・・・・マジで誰もいないじゃん・・・・・・。
時刻は十七時を少し過ぎた所だ。時間で言えば、まだそれ程遅い時間でもない。
だと言うのに、車で移動中に見かけた、全国展開をしているコンビニが閉店して真っ暗だったのは衝撃だった。
二十四時間やっているのが当たり前だと思っていたクミ子は、どうしてやっていないのかいまいち理解できていなかった。
それはクミ子だけでなく彼女の母親も、その場にいない父親ですらそうだった。
黄昏時に好矢見町に居てはならない、と言われているのに彼女達は事態を甘く見ていたせいだ。
街頭もろくにない道のせいで、そうでなくとも不慣れな道であるのだから怖くてたまらなかった。
どうせカナエの
多分、母親も怖いのだろう。だから安全圏から娘を送り出して、自分は見守るだけで済ませたいのだ。
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