第39話そして幕は乱暴に閉じられた。
その後、SEI☆MEIは謝罪動画を上げて好矢見町での大規模なお祓い動画は、当面の間見送る事を述べた。
それから、お悩み相談を中心に動画を上げていく事など当分の予定を喋って、十分程で謝罪動画は終わった。
その動画は軽く炎上したようだが、参加表明した霊能者達が雑談枠などで好矢見町の危険性に触れたり、SEI☆MEIを擁護したりと色々あったお陰か、炎上は程なく鎮火して今回の騒動・・・・・・と言うか、騒動に発展する前にボヤで済んだと言うべきか。
実はSEI☆MEIこと、鴇弥は祖父に会うことなく、代理人であり、鴇盛の片腕である横田から兎に角好矢見町に手を出すなと言付けで釘を刺された。
納得いかなかったが、もし約束を破るようなことがあれば、今後援助しない、と言われてしまっては黙って引き下がるしかない。
こうして、この話は雑な幕引きで閉じるのであった。
勿論、この話は宵闇町町内会でもすぐさま議題として上り、引っ越しや町内の封印を焦る必要が無くなったと、当面の危機は去ったと言う共通認識で話は終えた事で、安堵した町民は沢山居た事だろう。
「いや~~~、急いで引っ越しせずに済んで良かった、っス!」
その安堵した町民のひとりである皇慈は、警備員詰所で大盛りの焼肉弁当をかき込みながら大袈裟に喜んでいた。
酔いどれ横丁にある焼き肉屋がランチタイム限定で、持ち帰り専用のお弁当を販売しているのだが、皇慈はこの焼肉弁当を奮発して買って来たのである。
「良かったな」
祇鏖が苦笑しながらお茶を啜った。祇鏖的には宵闇町封印が早まっても、問題は無かった。
ただひとつ問題があるとすれば、あのアパートに住み続けるのは得策ではない、と言ったところだろうか。
今はまだ小さい慈雨とて、成長する。現に、最近また靴を買い替えた所だ。
「ふむ・・・・・・」
皇慈は直ぐに引っ越しをしなくて済んだが、祇鏖は近いうちに引っ越しをしないといけないようだ。
だが幸いな事に、祇鏖がこれは、と思う物件に目を付けていた。
近いうちに慈雨達を連れて内見に行こう、と祇鏖は考える。
桃瑠もひとりであの狭いアパートで暮らして行くより、慈雨と一緒が楽しかろうと思いながら、ふと祇鏖は桃瑠の保護者代わりの男に思いを馳せた。
あの男にも困ったものだ。
蛇のくせに放浪癖があって、四、五年は余裕で帰って来ない男だ。
でも、今何処に居るのかだけはしっかり知らせて来るマメさは持ち合わせているようで。
ご機嫌取りと養育費代わりなのか各地の名物であったり、桃瑠だけでなく慈雨に、と洋服を送って来る。
こう言う、流行り廃りが分からない祇鏖は随分助かっているので多少の事には目を瞑る事にしていたのだ。
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