12 ノーブルハーバー中央駅

 ノーブルハーバー中央駅は、市街地の中心に位置し、その美しい建物が街のシンボルとされています。建物はネオクラシカルスタイルと中世の要素が融合したデザインで、大理石の柱やアーチが特徴的です。


 芸術の街の玄関口らしく、駅には至る所にアート作品が展示されています。


 まず目につくのは、メインエントランスに飾られたヴィクトール・ドレーコの『ホライズン』です。

 これは偉大なる芸術家が風景と星空の融合をテーマにした作品です。巨大なキャンバスに描かれたノーブルハーバーを象徴する風景、アウローラ川と美しい街並み、そして母なる大地としての田園地帯が、彼の得意とする星空の表現と調和し、幻想的な風景を映し出しています。

 まさにノーブルハーバーを代表する絵画として、メインエントランスを美しく彩っています。


 そのほかにも駅には多くの作品があります。

 ヴィクトールの絵画に加え、国内外の著名な芸術家の絵画や彫刻が展示されているほか、『ショーアート』というコーナーもあります。

 これは、ノーブルハーバーの市民なら誰でも作品を展示できる場所で、この街の新たな才能を発掘する場として、著名な美術商を始め、多くの人が鑑賞に訪れています。

 実際に、年に数人がこの場所からプロの芸術家としてデビューを果たしています。

 ノーブルハーバー中央駅は、ただ鉄道に乗るだけでなく、人生という新たな路線の始発駅にもなっているのですね。



 ノーブルハーバー中央駅から、今回の旅で最後の列車に乗ります。


 乗車するのは特急『シルバースカイエクスプレス』、第2の都市ノーブルハーバーから首都シルバーレーベンまでを結ぶノイスターレ王国を代表する列車です。


 列車が発車する1番ホームに向かうと、すでに停車していました。

 その名の通り、外観はステンレスで銀色に輝いており、スマートな雰囲気を醸し出しています。また、大きな窓がデザインの一部となっていて、外からはスタイリッシュに、中からは景色がよく見えるように工夫されていました。


 牽引する機関車はスタイリッシュな青色の電気機関車で、流れ星のイラストが描かれています。この機関車は、シルバースカイエクスプレス専用の機関車らしく、スカイ、つまりは星空をイメージしたデザインだそうです。


 次は車内を見てみましょう。

 客車は1等車が3両、2等車が5両で、それに加えて食堂車が1両、ラウンジ車が1両の豪華な10両編成です。


 1等車では、乗客にウェルカムドリンクのサービスが始まっていました。

 この列車の1等車では、専任のアテンダントがドリンクと軽食のサービスをしてくれます。

 座席もバックシェルタイプの大きな座席で、サービスも含め、まるで飛行機のファーストクラスのような雰囲気になっています。


 アテンダントに注いでもらったシャンパンを飲んでいると、列車は揺れもなく静かに動き始めました。


 11:30、定刻通りノーブルハーバー中央駅を発車します。終点のシルバーレーベン中央駅まではおよそ300キロ、2時間58分の快適な旅が始まります。


 車内は基本的にオープンタイプのシートですが、1等車にのみ、コンパートメントルームもあります。

 あるコンパートメントルームでは、小さな子供が室内を探索しています。

 家族連れやビジネス用途にとって、コンパートメントルームは欠かせない存在のようで、常に満席になるそうです。


 2等車に来ました。2列×2列の快適そうなリクライニングシートが並びます。

 この列車の外観は銀色でスタイリッシュなものですが、車内の壁は木目調で統一され、シックで落ち着いた雰囲気になっています。


 車内には、ビジネス関係以外にも、家族連れにバックパッカー、それにローブをまとった魔法使いも多く見られました。


 ノーブルハーバーは芸術の他にも経済の中心地として栄えていますので、政治の中心である首都シルバーレーベンとを直結するこの列車には、毎日多くの人が乗っています。

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