第3話

『ああ、【J】と【X】について追加と、少しルールを補足しておきましょう』


9.【K】と【Q】が先に殺された場合に限り、【J】が次の『王』として扱われる。この条件は【X】にも準用される。


10.『平民』が団結して『王族』を殺すことはできるが、倒した・・・ことにはならない。つまり勝利条件は、『王族』か『革命家』による『王族』の打倒、または『王族』の自滅によるものでなくてはならない。


『そして「チーム」を作る意味ですが、自分が死なないために人をどう動かすか、つまり誰を自分の代わりに審判台に送るのかを決めるのに必要になるでしょう』

「……そうか。ギャンビットは言ってみれば村の差し出す生贄と同じことなんだわ」

 委員長が独りごちる。それにメガネの男子が同意する。

「そういうことだね。そしてそれを皆に受け入れさせるのは多数決……あるいは暴力」

 制服組の声に練習生もざわつく。

「暴力って、ケンカとかマズいよ、サッカーの大会も近いのに」

「どうせ無理だよ。だってあっちのあれヤクザ……ひっ、こっち見た!」

「だ、だけどさ『チーム』作れってそんなの、何を判断材料にすれば……」


 それを見越したように女神は皆に提案する。

『ならばお前達はこれから3つ、いかに自分が捨てられるのに相応しくない・・・・・のか、「チーム」にどれだけ貢献できてメリットがある人間なのか主張して自分の価値を訴えなさい。それをヒントにして「チーム」をどう分けるか全員で話し合って決めなさい。ただし数字の禁忌には触れないように。……ああ、そうですね。ヒントのうち1つだけなら嘘をつくことを咎めないことにしましょう』


 女神の言葉を受けての自己価値アピール、その口火を切ったのはやはり委員長だった。

「じゃあ私から。名前はユキ……名字はいらないでしょ? S高校の3年、Aクラスの学級委員長よ。

①私のナンバーは奇数②そして素数じゃない。あとは……そうね。③元の世界に戻れたら報酬に100億円貰って、それを『チーム』全員で山分けするわ! これでどう?」

 S高校は全国区で有名な進学校だ。当然ユキが頭が良いであろうことは予想がつく。そして数字を素直に推理すれば【9】だろう。しかし①と②のどちらかが嘘だとすれば全く絞れない。③の大風呂敷に関してはどうでもよく、他の真偽のカムフラージュの手段と思えてくる。

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