ギャンビット・ゲーム~ラピスラズリと愚者の金

桜盛鉄理/クロモリ440

第1話

 14人の日本人が真っ白なだだっ広い空間に召喚よばれた。その年齢や経歴も様々だ。制服姿の高校生、女教師、サッカークラブの練習生とコーチ、ヤクザ風の男と取り巻きのチンピラ、くたびれた濃紺のスーツの男……

 そこに天上から自分は【審判の神】だと名乗る女の声が響く。そしてそこにいる14人に『お前達は【ギャンビット・ゲーム】の駒に選ばれました』と宣言した。


『それでは』「おいおいおい! そんなあんたらの事情なんて俺らが知るかいや!」

 進行する女神を遮って派手なシャツを着たチンピラが声を張り上げる。「舐められる訳にはいかない」とばかりに、いつもの調子で女神を恫喝する。

「とっとと元の場所に返さんかい! だいたい自分のケツも拭けんようなやつが神とか言っとる時点で……ぎゃあああ!」

 言い終わる前にチンピラの頭上に雷が落ちる。閃光の消えた後には脂の焦げた臭いと消し炭となった死体が残った。


『私の管轄する世界は異世界からの転生者のせいで狂ってしまいました。混沌カオスというべきありさまとなっているのです。これまでに転生者を召喚した国同士が争い、幾つも彼らにのですよ。尻拭いというならその不始末は同胞のお前達があがなうべきではないですか?』

「えっ、それは自業自得じゃ……」『何ですか?』「い、いえいえ何も!」

 セーラー服の女子が押し黙る。天罰という実力行使を前にすれば、女神の言い分を理不尽な屁理屈と言える人間は誰もいない。


『ではカードを選びなさい。トランプの数字が【魂の重さ】であり、ゲームで与えられるそれぞれの【配役】です』

 女神に促されて13人が山から順にトランプのカードを引く。

『その数字を自分から人に教えることは禁忌タブーです。次にゲームの説明をしましょう』

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