清々しい一日の始まり

「あら、おはよう加賀人かがとくん」


「おはよう……あれ? 母さん、今日仕事じゃないの?」



 麗那れいな達と色々あった・・・・・翌日の朝、リビングに降りた俺を迎えたのは綾那あやなさんだった。


 今日は土曜日のため学校はないけど、父さんも母さんも、いつもは出勤している時間だ。こうして朝に母さんの姿を見るのは珍しい。



 俺が起きるタイミングを見計らっていたのだろうか。エプロンを着けてコンロに向かう綾那あやなさんのフライパンの上には、ちょうど良い焼き加減の目玉焼きが乗っている。


 ……母さんといい麗那れいなといい、なんで俺が起きるタイミングが分かるのだろうか……。



「今日は愛する息子のために、朝ご飯を作ってあげたかったのよ」



 そう言ってはにかむ彼女は、文句なしに魅力的だった。

 40代であるはずなのに、とてもそうは見えないほど若々しく、麗那れいなに母性と包容力を足したような美貌。


 そして、エプロンの上からでも分かるほど……というか、年齢問わずあらゆる男を魅了してやまないほどの、いっそ暴力的なまでのスタイル。


 だから俺の視線が胸に吸い込まれてしまうのは仕方がない。

 男の性だから……でっけぇ……メートルあるんじゃないか……?



「……ふふ、気になる?」


「っ! い、いやっ、そのっ……」



 胸を強調するように腕を下で組んでムニィッとする綾那あやなさんに、俺は思わず目を逸らす。



「冗談よ……さすがにおばさんだし、加賀人かがとくんも麗那れいな達みたいな、若くてピチピチな体がいいもんね……」


「えっ———」


「夜のあの娘達、すごかったでしょ?」


「ちょっ、待っ……えっ!??!!?」


「椅子から転げ落ちるほど慌てなくても……」



 昨日の行為が綾那あやなさんに筒抜けだったことに驚きすぎて、俺はバランスを崩して椅子から転げ落ちる。


 姉弟であんなこと・・・・・して、それが親バレって……え、終わった?



「大丈夫よ。龍司りゅうじさんにはバレてないし、私も他言はしないわよ? だって私も肯定派なんだし、可愛い娘が運命の相手と結ばれるだなんて、素敵じゃない?」



 目を輝かせ、ドヤ顔でそう言い切る綾那あやなさん。

 この、『私がこう思うからこう!』みたいに突っ走る感じ、魔王の時・・・・と全然変わってないな……。


 この親にしてこの娘あり、といったところか。



「そういうわけで、あの娘達はお寝坊するかと思って、私が朝ご飯を作ったのよ」


「そ、そうか……なんていうか、その……」


「何も言わなくても大丈夫よ? 加賀人かがとくんは今、幸せでしょう?」


「はい、それは間違いなく」


「それでいいじゃない。あの娘達もあなたも幸せで、私はそれを願っている。なら、問題ないでしょう?」


「……でも世間一般的にはアウトなので……」


「内緒にしておくから大丈夫よ♪ と、そろそろ時間ね……行ってきます♡」


「っ……!」



 俺の朝ごはんを作り終え、テーブルに並べた綾那あやなさんは、そのまま俺に近づき、俺の前髪をかき上げて額にキスする。


 そして思わずドキッとしてしまった俺の表情を見て笑いながら、元気に家を出ていったのだった。


 なんだか随分振り回されたな……。



        ♢♢♢♢



加賀人かがと君、おはよ……」



 それからしばらくして、リビングのドアが開く。

 最初に起きてきたのは麗那れいなだったようだ。



「あぁ、おはよ———っ!?」



 未だ眠そうな声を出す麗那れいなへと目を向け———俺の心臓は大きく跳ねる。麗那れいなが着ている服、それ俺の制服……


 俺は結構背が高い方だから、カッターシャツもでかい。実際、麗那れいなの太腿あたりまで裾が垂れているのだが……それでも胸元ははち切れそうで、ボタンが今にも飛びそうだ。


 というか、第一ボタンは閉まらなかったのか開けっ放しで、谷間が丸見えである。



 何より……絶対それ下着つけてないよね……?


 薄手のカッターシャツから透けて見える色は肌色で、どう見ても他の布は存在していない。そして、はち切れそうなほど押し上げられた胸元の先端には、小さな突起が確実に———



「気になる……?」


「いやっ!? その、ごめん!」



 俺の視線に気づいた麗那れいなが、自分の胸元に指をかけて軽く引き下げる。ムニッと柔らかそうに形を変える双丘が容赦なく俺の理性を破壊しにかかり、連鎖的に昨日の記憶が呼び起される。



「待って、冗談抜きで我慢できなくなるからっ」


「そうよね……加賀人かがと君、私のおっぱい大好きだもんね♡」


「いや、まぁそれはそうだけどっ———」


「昨日だってあんなに夢中で、赤ちゃんみたいにむしゃぶりついて……『そんなに吸ってもおっぱい出ないわよ』って伝えても全然離してくれないんだもん……♡」


「もう勘弁して……」


「ふふ、勝った」



 あーっ! 恥ッッッッず!?

 高校生にもなってこんな恥ずかしいことあるか!?

 くっそ、ただただ弱みを握られただけな気がするな……。



「こほんっ……目玉焼き作るけど、塩でいい?」


「あー……先にシャワー浴びてくるわ」


「分かった。先に紅茶入れる準備だけしておくよ」


加賀人かがと君との相性が良すぎて【ピ——】しすぎちゃったから、身体中べたべた———」


「言わなくていいから早く行ってきなさい!」



 俺をからかうだけからかって満足したのか、麗那れいなは弾けるような笑顔を見せて風呂場へと向かっていった。



 はぁ……そんなに俺をからかうのが楽しいのだろうか……。いや、まぁ彼女の言動全てにドギマギしてテンパってる俺も俺だけど……。



「……まぁ、姉さんがいつも通りで良かった」



 もしかしたら、俺が変に気にしないように、わざとそう振舞った?

 だとしたら大成功だな、その作戦。



 そんなことを考えつつ、10分ほどして戻ってきた麗那れいなに紅茶と目玉焼きを振舞う。


 そして、示し合わせたかのように俺の服を着て起きてきた新那にいな紗那さなにも同様にからかわれ、いつも以上に騒がしい一日が幕を開けるのだった。



─────────────────────

あとがき


 一旦これで完結にしたいと思います!(続きを考えていないので……)


 ここまで読んでいただいてありがとうございました(_ _)


 まぁ、まだ水着回とかやってないですし、ようやくオープンにイチャラブできるようになったので、その辺りの話とか、クラスメイト・通行人の反応とか……あとはお母さん参戦とか……書きたいなと思ってるのは色々あるので、そのうちまた再開すると思います。


 そのときはまたよろしくお願いします!

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