9-6

 数日後、石畳さんから連絡があって、宇都宮の駅前の喫茶店で待ち合わせをして、例の写真を渡すからと


「良い写真になったよ 約束したように 焼き増しはしていないからね ただ 最後の1枚だけは 違う これは 僕にとっても想い出にしたいんだ 僕は 人物を撮ることは無いんだ だけど これだけは大切に持って居たいんだ 水柱がみえるようだろう? 許してもらえるかな?」


「う~ん 私も 無理をお願いしたから いいですよ でも 公開なんかしたら嫌ですよ! お嫁入前なんですからー」


 渡されたものの内 2枚はパネルにしてくれていた。1枚は白いジーンの短パンのもの もう1枚は すべて脱ぎ去っていて 池を背にしていて 両手を広げて横を向いた瞬間のもの 身体全体が・・・胸の膨らみもお尻も夕陽に照らされて輝いていて、あの部分の繁みも夕陽の光でぼやかしてくれていた。石畳さんが言うように確かに水柱が見えるような気がする。我ながら きれい・・・と思ったのだ。


「ありがとうございます すごく きれい! これ 私なんですよねー」


「そーだよ 若々しい 妖精のようだね 僕も こんなの撮れたから幸せだよ 君が卒業する時 お嫁に行くときも是非 呼んでくれ とびっきりの笑顔を撮りたいなー」


「ええ お願いします」と、言って別れてきた。写真のことはイオには打ち明ける気持ちは無かった。余計なことを言われるに決まっている。イオ以外の男の人に全てを脱ぎ去った私の身体を見せたんだものー・・・。


「ねぇ 今年も帰るんでしょぅ? いつにする?」


「あっ 考えてない 面倒だしなー」


「だって おばさんも心待ちにしてるよー」


「それはー マオに会いたいからなんじゃぁないかなー」


「そんなことないよー ひとり息子なんだものー」


「ひとり息子って言うより ひとり娘って思ってるんじゃぁないかなー」


「そんなこと言ったって・・・マオは 歓迎会の時 (勝手させない 俺が受け止めるよっ しっかりと)って言ってもらったけど・・・イオから はっきりと 結婚しようって言われて無いもの・・・」


「それはぁー まだ 就職も決まって無いし 喰わせていけるかどうか・・・」


「そんなの どうにかなるよーぅ イオの決心次第ヤン」


「うん けどなーぁ 男としては・・・」


「ふ~ん 変なの じゃぁ わたしゃー 来年まで揺れる女なのかぁー」


「そんな言い方よせよー ちゃんと結ばれているやんかー」


「結ばれているねぇー」


「なんだよー 最後まで 許さないくせに・・・」


「なんだけどー だってぇ・・・」


 その夜は、お風呂でもベッドに入ってからも身体中で愛し合っていた。けれど、私の大切に部分だけは触らせなかったのだ。ベッドでは彼は何にも身につけて無くて、平気で私のショーツの上からでも擦りつけてくるようで、その度に私はビクンと感じていて喘ぎ声が自然と出てしまっていたのだけど


「マオ この前 寝ている時に、あそこに唇を寄せてくれていただろうー」


「えー そんなこと・・・ないよ 勘違いちゃう?」


「なぁ もう一度 口で含んでくれよー」


「嫌よー そんなこと・・・そんなエッチなこと出来ない」


「たのむよー 我慢できないんだよー せめて 口で・・・」


「そんなのー そのほうが恥ずかしいんだからー」と、言いながらも 彼のものをやさしく両手で捉えてキスをするだけと思って 唇を寄せていたのだ。だけど、唇に含んだかと思ったら、彼はトイレに駆け込んでいたのだ。多分、爆発寸前でこらえきれなかったのだろう。


 私は もう我慢の限界だわー 彼も 私も と もっと 繋がろうと・・・。三日月先輩にも はっきりとお断りの返事をしなきゃーと思っていた。私は、やっぱり 伊織利さんと 幸せになりたい。 全てを・・・伊織利さんのものになろうと決心したのだ。

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