9-3
夏休みになって、キッチンカーを掃除していた時、剣道部の三日月俊平さんがやって来て
「真織ちゃん この後 時間ある?」
「えっ ええ まぁ バイトに行く時間までなら・・・」
「学食で待っているよ 来てくれる?」
「良いですけど・・・ 私 汗だくだから 帰ってシャワー浴びないとー」
「すぐ 済むよ 話がある」
と、行ってしまった。なんか・・・訳ありそうだった。私 何となく あの人には入学試験の時から縁を感じていたので無視出来無かったのだ。自分でも汗臭いかなーと気にしながら、向かうと
「やぁ 来てくれて ありがとう」
「いいえ でも どうしたんですか? いきなり・・・」
「うん 僕は 福井県庁職員の採用試験に受かった 少し 寒いところかも知れないけど だんだんと温暖化になってきているし そのうち新幹線も延長するし 住みやすい街の上位なんだよ」
「・・・そうなんですか 良かったですね そうかー 福井かぁー でも なんでー ここ 地元でしょぅ?」
「うん でも 君の実家からも そう 遠くないだろう?」
「そーですね それに 福井っていうと 少し 関わりあるかもー」
「あのさー 君のこと 無茶を承知で言うんだけどー 僕と付き合ってくれないか? そして、君が卒業したら 福井に来てくれ」
「えっ えぇー 何で・・・ウチ なんかと・・・」
「入学試験の前 僕に メンをくれたろう? 入学式の時も 再会して 君のことが心に焼き付いて 忘れられないんだ それから 君のこと見てきたけど 誰にでも 明るく接していて好感度抜群だよ だけど、しばらくすると彼氏と一緒でなぁー ショックだったけど 天野カツ 知ってるだろう? 素直で機転も利くし気立てが良くって可愛いから理想的な女だよって ベタぼめなんだよ 一度会ったきりで惚れてしまったよーって だから 思い直した 諦めきれないんだ 一度アタックするだけしようって」
「・・・ あのー 私・・・」
「わかってる 彼氏が居るんだろう でも 僕も 君に真正面からメンを叩き込みたい 今度の大会 優勝する 君への決意だ」
「あ そんなこと 言われても・・・だって アキが三日月さんのこと いい感じだって・・・好きみたい」
「あぁ アキちゃんも可愛いよねー 昔から知っているし でもカツの妹だし そんな気になれない」
「そーですかぁ? でも 私 困ります」
「いいんだ 突然だったからね でも 卒業まで あと 半年ある それまでに答えを出してくれればいいんだ」
「でも 私 三日月先輩のこと あんまり 知らないしー」
「だから まだ 半年ある それまでに・・ とにかく あの時 出会ったのは 運命なんだよ」
この言葉に弱いのって、初めて気づいたのだ。確かに、運命の出会いだったかも知れない。入試試験の前日 この人に出会って 確かに 緊張の糸がほぐれた感じがした。お陰で試験にも普段どおりに迎えられたのだ。
別れた後も少し動揺していた。あんな風に真正面から言われたのは初めてだったし、あの人に対しても、はっきりと自分の意見を言ってグイグイ来るタイプだから、どっちかというと好感を持っていたのだ・・・。仮に 福井大で出会っていたら・・・なびいてかも・・。
イオが悪いのよ!。もっと ちゃんとマオのこと掴まえておいてくれないから・・・。でも、私が悪いのよね ちゃんと イオのものにならないから・・・。イオも私に気を使って、強引に出れないのよねー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます