3-7
2学期が始まって、直ぐに大学模試があって、私は第一志望校に宇都宮大学と書いていた。
しばらくして、成績が帰ってきて、Aランク確率80%以上とあった。担任の先生に呼ばれて
「奥浦さん 何で ここなのかな?」
「・・・ただ 何となく・・・」
「でも 普通は 東大、京大とか同志社、滋賀大とか書くだろう? 君の実力だったら 京大にも挑戦できるよ そらぁー 学校のこと悪く言うつもり無いけど 今の時期 あそこだったらAランクだろうよ その地域の子しか 志望校に書かないだろうから まぁー それで 大学には行く気にはなったのか?」
「うん お母さんには まだ 話して無いけど・・・」
「そうかー 話しにくいのか?」
「うん ・・・」
「でも 京大に行くんだったら 家から通えないことは無いし 国立だし 喜ぶだろう?」
「でも・・・私 宇都宮に行きたい」
「へぇー だから、宇都宮って書いたのか・・・ 事情はわからんが その気になったら話してくれればいい 君がそこまで決めているんだったら よく お母さんと話合いなさい 困ったら 相談には乗るから」
その日、お母さんと二人っきりの時、私は切り出した。
「お母さん マオはね 大学に行こうと思うの」
「あっ そう 京大?」
「ちがう 宇都宮」
「へっ 宇都宮? 宇都宮って あの東日本大震災があったとこ?」
「違う あれは宮城で 宇都宮は北関東で埼玉の北」
「・・・どうしてよー どうして そんなとこに・・京大だったら 通えるかもしれないしー 無理なときは、お父さんとどっか借りて・・・あっ 何となく 遠くって言ってたのって そのこと? 前から考えていたの? ダメよ ダメ ダメ! お母さんの側に居て、助けるって言ってたの あれは やっぱり 猫被ってたの? !」
「ちがうわ! あの時は本当にそう思っていたわ 今でも お母さんの側に居てと思ってる」
「だったら 何故なの? 独りの生活になっちゃうじゃぁない それに 宇都宮なんて マオは知ってるの? 知らない土地で 女の子が独りで生活なんて、出来ないわ!」
「お母さん マオは お母さんに黙っていたことがあるの」
「なによ それって? 私のスキンクリームを黙って使っていること?」
「ううん それもだけど・・・あのね 伊織利さん・・・ 徹底的に振った ろくでもない女ってマオのことなのね」
「えっ ・・・ その子がマオのことなの? そっ まぁー びっくりだわー そうよねー マオみたいに可愛い娘って この辺りじゃぁ そんなに居ないものねー でも しょうがないじゃぁない? 何かが合わなかったんでしょ?」
「ううん ちがうの 好きだったの 駅で初めて意識した時から なんか 曳かれていて・・・ず~っと以前から知っているような・・・」
「あなた 何 言っているのか理解できない! お付き合いしてたの?」
「数回 お話しただけ」
「ふ~ん それで 嫌になったの?」
「わけじゃぁないの 向こうから声を掛けられて・・・お付き合いしよう思っていたのよ マオも嬉しかったし、好きなの・・・ だけど それから 彼から何にも連絡無くて・・・その間に他の人と知り合いになって・・・彼と久しぶりに会った時、そのこと責められて・・・マオは見栄張って あなたには関係ない ウチの勝手でしょ って言ってしまったんだー とんでもないことを言ってしまったと思ったけど、それっきりで 伊織利さんはマオが振ったと思ってるんだわ それっきり会えてないの」
「そりゃー そーだわ そんな風に言われたら・・ それで、あの先輩は 知ってるの? そのこと その伊織利君を振ったひどい女の子がマオだってこと」
「ううん 知らないはず だって 伊織利さんとお付き合いしてくれたらいいのにねーって この前も言っていたからー マオの写真を送るから、気が変わってくれたらいいのにねーって言っていたの」
「そっ そう なんか 混乱してきたわー ちょっと待ってよ 先輩は伊織利君を振った女の子のことをろくでもない女よって、それでマオのことは伊織利君の嫁になってくれたらとか言って・・・別人なんだと思っているのね お母さんも、その子のことバカ女とかボロカスに言っていたのに、実は我が子のことだったのね でも、マオはとっても良い子なのよ そして、マオはひどいことを言ってしまったと後悔しているけど、本当は好きなのね じゃあ お互いに まだ 好きって 想っているってこと? で そんなことになっているって先輩は知らない・・・」
「うん だと思う この前 縦帯さんとこにお邪魔したって話したでしょ その時に、伊織利さんの部屋に入れてもらったの その時にね 彼の机の前に (関係ないやん ウチの勝手やろー てっか? 俺が好きでいるのも勝手やろー ず~っと) 書いたのが貼ってあったの 彼が書いたんだわ どんな気持ちで書いていたんだろうって その時、マオは 彼に会いたいって思ったわ 今度は離れないで側に居たいって・・・」
「ちょっと 待ってぇー マオ まさか その宇都宮って・・・ダメ ダメ だめぇー そんな 男を追ってなんて あんた 思い詰めてるだけよ! そんなことしたって 向こうはもう女の子見つけてるかも知れないしー マオだって 男の子を好きになったっての初めてでしょ? これから、もっと良い子 現れるかも知れないしー マオなんて いっぱい寄って来るわよー 選び放題よ!」
「お母さん マオは伊織利さんが好きなの 側に居たい 学校だって あそこで、新しい食品の勉強をしたいの お願いします 行かせてください」
「真織 ・・・ あなたは、お母さんには過ぎたる良い子よ 私の宝 そんな大切な我が子を私から 縦帯伊織利は奪おうとしてるのね」
「お母さん 大学を卒業したら 必ず お母さんの側に戻ってきます だから お願い」
「わかったわ とりあえず マオの受験が済んで合格してから 考えましょ お父さんにも その時 相談します 良い? 先輩にも このとこ 追々 相談するわ だって マオのことあんなに褒めてくれていたじゃあない もしかすると 我が子を苦しめた憎い女って 可愛さ転じて、変っちゃうかもよ」
「うん・・・」
「真織 お母さんはね 少し 安心しているの だって マオは男の子に全然 興味湧かないんかと少し心配していたから でも まともに 一人の男の子を 好きになるんだと それも 熱くネ」
「お母さん マオも やっぱり お母さんのこと だぁあ~好き」と、抱き着いていったのだ。
「あっ そうだ いつか マオはお母さんのことも好きって言ってたことあったよね も って だからだったのかー」
「ふふっふ そうだったかもね お母さんには隠し事できないね」
「そうよ あなたは 私の分身なんだからー」
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