2-2
次の日も歯医者さんに。又、出会えるかと期待して行った。すると、玄関先で・・・彼はもう治療を終えたのか、でも、待っていたみたい。私を見るなり、緊張した面持ちで
「どう? いい?」と、聞いてきた。期待はしていたけど、そんなの心の準備もしていなかったので、私は声も出ずに 頷いただけだった。でも こころの中では やったーぁ って思っていたのだ。運命の再会の始まりだった。
「良かったぁー ねぇ 明日 会える?」
「えーとー 明日は卒業生で中学校に集まるの」
「あっそう 何時ごろまで? 終わってから・・・ あの駅で待っているよ」
「はぁ あの 12時まで たぶん」
「そうか 12時ね 待ってる」と、すたすたと駅の方に歩いて行ってしまった。なんでーぇ だって 私は、これから治療なんだから、一緒に待つとか 無いんかしら・・ まぁ 良いかぁー いざとなると何を話していいかわかんないものネ。
その夜は、ウキウキした気持ちと不安が入り混じってあんまり眠れなかった。今もドキドキしながら、駅に向かっていた。あの人の顔が見えて、自分でも心臓の音が聞こえるくらいで・・・笑顔で手を挙げてくれた。
「良かった もしかしたら 来てくれないんじゃぁないかと」
「すみません 待ちました?」
「ううん さっきの電車で来た 歩こうか?」と、手を繋ぐわけも無く、彼の後ろに付いて行った。
近くの神社の方に・・・中学校の時、付き合っているペァがよく行くところで、社の横に入ってキスなんかをしたと聞いていた所だ。まさかー そんなに、いきなりはないよねー と・・・ 私は、先に境内のベンチに座っていた。
「あのー 3年生ですよね? なんか クラブとかは?」
「うん まぁ 夏休みを最後に辞めようかと思ってるけど・・・受験もあるしー」
「大学は京都ですか?」
「いいやー 地方の・・・国立だけど・・」
「ふう~ん じゃー 来年は どっか 行っちゃうんだ!」
「まぁ すんなり 受かればネ」
「あのー どうして 私なんですか? 私 誰とでもって チャラチャラしてないんですけどー」
「う・・・ そうだね 君を見て 気に入ったんだ いつからかわからないけど・・」
「でも 私のこと あんまり知らないんでしょ?」
「高校1年生 奥浦真織ちゃん お姉さんは 織藻 高校3年生 ってことだけカナ あっ 今 歯医者さんで治療中」
「姉ちゃんを 一度 送ってきたことあったでしょ? 家まで 去年の夏」
「あぁ あった 史也の彼女だって言うからー 同じ駅だしー たまたま 最初会った時 君に似てるなーって思ったんだ 話してて、妹が居るって言うから 多分君のことだろうなって」
「そう そのころから 私に興味持っててくれたん?」
「興味ってー まぁ 気にはなってた いつからだろう 覚えていない 気がついたら・・でも、ず~ぅっと 前にも会っていたようなー やっと 会えたんだって気になってー」
「あっ マオも・・・ 昔かなー もっと前から知っていたような気がしていた 結ばれていたんかなぁー」
そんな話ばっかりで、一緒に帰ってきたんだけど、電車の中でも別に話すでも無しに・・・。次に会う約束も無く、駅で別れてきた。彼は「さよなら」と、言って、さっさと坂道を上って行くのだ。
私は、拍子抜けしていた。もっと、何で私?って聞いた時に ずぅ~っと好きだったからとか 激しい言葉を期待してたのにー 何を聞いても、途中までの中途半端な答え なんか イメージと違うなぁー あの人 それに、どうして、次会う約束も無いのよー それに、連絡先も交換しなかった!
あの人も会って話をしてみて、私なんか ダメだ つまんない女と思ったのかしらー 振られたの? 私って 嫌よ! そんなのって 今まで、告られても、他の男の子には見向きもしなかった私なのに・・・なんなの あいつ だけど、前にも会って居るような・・・前から知っている様なのだけど・・・思い出せない。最初見た時 懐かしいような感じもしたのだ。
夕方暗くなって、姉ちゃんが帰って来て、買ってきたものを着て、お母さんと私の前で
「どう 可愛いでしょー 京都まで出ると、やっぱり おしゃれなものがあるわー これ着て 明日 USJに行くのー」と、本人はご満悦だった。7分袖でウエストがリボンになっていて薄いブルーの縦ストライブで膝上のAラインのワンピース。確かに、可愛い。洋服だけは・・・。姉ちゃん、高校生の割には、アイシャドーなんかもリップも濃ぉーすぎるんちゃう・・・。聞かないけれど、この調子じゃぁ、たぶん史也君とデートなんだろう。そして、又、お母さんにお小遣いをねだっていたみたい。いくらなんでも私はイラッときていた。
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