喪失TS少女のVtuber配信
暗雲
第1話 記憶を失う前の一瞬
僕は綾瀬夕希。どこにでもいる高校生だ。学校ではたまに「女っぽい名前だな」と誂われることがある。それでも、この名前をつけてくれた親は好きだ。
親は憧れだ。母は人生相談をするカウンセラーという職業で会話を通して人の助けになっている。父も医者をやっていて、病院でたくさんの人を助けている。姉もいるが何処かへ放浪している。
僕は両親の様に何かしらの人助けをしたい。だから、直接助ける為、筋トレを。間接的に助ける為に、医学の勉強や周りをよく観察をして様々な視点を学ぶことなどをしている。
人を助けたいから、辛くてもやる。何かが起きてからでは遅いから、常に周りを見渡すのが最近の週間に習慣になってる。
登校中の僕が交差点の青信号になるのを待っているとき、小さな子供が自分の横を抜けた。子供は、後ろ歩きをしており、赤信号であることを分かっていない。非常に危険である。
そこに猛スピードで駆け抜けてくるスポーツカーが見えてきた。この状況で気付いているのは自分だけ、ならやることは一つだ。足に力を込め、一気に走り出す。
距離は一メートルほど、車の方はおよそ百十キロのスピードで迫ってきている。もちろん速度違反に引っかかっている。子供を掴んで後ろに放り投げる。怪我したらゴメン。
あとは自分がUターンをして戻るだけなのに、全てが遅く感じる。自分の足も、横からえげつない速度で迫ってくるスポーツカーも。僕はなんとなく察したのかもしれない。死ぬかもしれないと。
音は何も聞こえなかった。ただ分かることは自分が跳ね飛ばされたことだけ、その後何が起きたかは知らない。僕が最後に見た景色は雨が降り始めた一面雨雲の空だった。
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