おもちもちもち
「もにもに」
いちもち
わたしは1月の1日に生まれた。自分の感覚としてはその誕生した日について、ただの「1/365」に過ぎないのだが、物心が付く前もその後も、多少の強度はあれど「祝い事が同時に来た!」と、周りが毎年騒がしい。友達と誕生日の話題になるとわたしのターンは必ず盛り上がる。それこそ記憶のある限りの小さい頃は嬉しかったが、少しばかり大人になるにつれて「飽き」と「疑問」が嬉しい感情に同居してきて鬱陶しく感じるようになっていた。というより、ここでは疑問という言葉を使うが、それが大半を占めていた。
お年玉と誕生日プレゼントを混合されてないか?と感じたこともあったし、仲の良い友達のお家では、お寿司とケーキを誕生日に食すというイベントがあると聞いた時、何か損をしている気分になった。ケーキはあったがお寿司はおせちの中におのずと含まれるのが常だったからである。
それが少し不服でもあった。
わたしの名前は高橋望。
「望」と書いて「もち」と読む。
THEお正月生まれですよー!という名前である。
これに関しては不服ではない。むしろ好きな方だ。望という字は好きだし「なんか」素敵に感じているし、可愛いねと言われることも多々あった。
そんなこんなで…というべきか、必要以上に意識しているせいなのか。「わたし」や「わたしの周り」には、お正月の雰囲気にも似た、とても柔らかく平和的な空気が漂っていると思う。そしてそれは、不幸なことを全て追っ払ってくれていると錯覚するほどに。
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