六章 パラグラフリーディング

 別府は菊太郎の死体の検分を行った。瓦礫の下敷きになったことや死体を見つけるまでに時間が経過してしまったこともあり、ほかの死体よりも腐敗が進んでいた。死体の首元には絞殺の痕跡があった。裏口の土間と離れ座敷は比較的、ちかい。別府は二人目に殺されたと判断する。

 別府のもとに老女中の千代があらわれる。被害者の乳母だった。千代に菊太郎を殺害する動機があった者を確認する。炊馬経子と作間政信の名前があがった。

 ふたりは過去に菊太郎と問題を起こしていたらしい。いっぽう、上野左衛門と瑞木新七のふたりは被害者と関係が良好だったと判明する。いずれにせよ、この四人には鉄壁のアリバイがあった。

 別府は容疑者のもとへと向かい、話をきくことにした。

 本人の証言からアリバイを崩せるかもしれない。まずは経子のいる西区画へと急いだ。

 いっぽう、未堂棟は、連続殺人事件以外の謎にも、目を向けていた。かつて、蛇崩町の町内では、変死体が発見されつづけていた。この謎がまだ解けていないことを気にしていた。

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