九州地方のとある町について〜覚書〜

恥目司

distortion

 残響。

 虚空に響く悲鳴。


 返血。

 月夜に照らされる血の海。


 死体。

 路地裏に転がる肉塊の数々。


 刀。

 光に反射して白く輝いた冷たい殺意が、鞘の中へと収まろうとしている。


 男。

 刻んだ肉塊の上でタバコを吸うスーツ姿の男。

 命を刈り取り、一服した後はなんともなしに、鮮血を浴びたまま路地裏を出る。


 町。

 あまり大きくはない、そこまで栄えてはいないが宵闇の中で薄らに光を満たしている。


 悲鳴が聞こえる町。

 血飛沫が舞い散る町。

 死体が転がる町。


 表面上ではただの素朴な町。


 しかし、裏の生き方を始めるとならば、命を賭ける覚悟をしなければならない。

 悪人には法など無用。

 生きるか死ぬか。その2択。

 人情はあれども、義理はない。


 それがこの町の裏側なのだから。



 ようこそ、田川へ。

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九州地方のとある町について〜覚書〜 恥目司 @hajimetsukasa

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