完全実力主義の学校で俺は最強を目指す〜転生特典で最強の闇魔法を貰ったのでチョチョイと無双してきます〜

Booske

第1話 転生

 パアァァァァ!


 俺の視界はトラックのヘッドライトで埋め尽くされる。耳をつんざくようなクラクションと共に、俺は三十歳でこの世を去った。


 それからどれくらいたったかは分からない。しかし。この世を去ったはずの俺が目を覚ますと。そこは謎の白い空間だった。周りを見回すと、長い白ひげを蓄えたおじいちゃんがこちらに近づいてきていた。おじいちゃんは俺の目の前にまで来ると、自らを"神"と名乗った。


「おぬしは前世で悲壮の死を遂げた。あまりにも理不尽な運命だったが故、わしの世界に転生させることにした」

「て、転生?」


 俺は話の展開についていけず、神に聞き返す。


「そうじゃ。おぬしをこれから剣と魔法がある前世とは違う世界に赤ん坊として転生させる。だがその前に。おぬしにはその世界で生きていくための力を授けようと思う。いわゆる転生者特典じゃ」


 なるほど。つまり俺は今からチートを手に入れるのか。どんなチートを貰えるんだろう?超強い火魔法とか?もしかして空間魔法とか?話について行けるようになった途端すごくワクワクしてきたぜ!


「おぬしには特別に力の選択権を与えようと思う。この中から好きな物を選んで欲しい」


 そう言い、神は俺の目の前に半透明のウィンドウを展開させた。そこには俺の想像していた通り、火魔法やら水魔法やらの王道から光魔法、重力魔法などがあった。

 

 だが、正直言って魔法を使ったことがない俺からしたらどの魔法が一番強いかなんて見当もつかない。そのため俺は一番上にあった『ランダム』というのを選択した。


「ほお。選択権が与えられ、好きな物を選んでよいと言われておるのにランダムか…。わし、頑張って好きそうな魔法考えなくてよかったじゃん」

「す、すみません。ただ使ったこともない魔法を選べと言われても、何が強いのか弱いのかさっぱりで…」


 少し落ち込んでしまった神に、俺は慌てて謝る。しかし頑張って俺のために考えてくれていたとは。ちょっと申し訳ない。


「まあよい。ではこの中からランダムで選択するぞ」


 そう言い、神はランダムをポチッと押した。すると、ウィンドウに載っていた力が上から一個ずつ、最初は早く徐々に遅く光っていく。そして、最後に光ったのは


『闇魔法』


「ほう!闇魔法か!これはおぬし、中々癖のある魔法となったのう!」

「え?癖があるってどういうことですか?」


 思わず聞き返してしまう。ラノベとかだと、闇魔法って主人公が無双したりするのに使われてる魔法のはずなんだけど。


「わしの世界には闇魔法を扱えるものが一人もいないんじゃよ。これは使いこなせれば様々なことが出来る最強の魔法なんじゃが、扱いがとんでもなく難しくてな。文献に闇魔法の存在が軽く載っている程度なんじゃ」

「えぇ!?それじゃ俺はこの魔法を持っていても扱えないっていう事!?」

「何もそうは言ってない。特別におぬしには"才能"を与えようと思う。闇魔法を扱う才能じゃ。使おうとすれば感覚で使い方が分かる。じゃが、一つ問題があってな。この才能を与えると他の無属性魔法については一切使えなくなるが・・・よいな?」

「無属性魔法とは?」

「身体強化などの属性を持たない魔法のことじゃ。闇魔法はたいていのことをできるが故、無属性魔法は全く必要ないが世間体としては受けが悪いからのう」


 闇魔法を取るか無属性魔法を取るか。俺は迷わずに前者を取った。


「その才能を俺に授けてください」


 はっきりと言い切ると、神は微笑みながらうなずいた。そして、両掌の上にそれぞれ黒い球体と、青い球体をつくると、それを俺にぶつけた。その球はゆっくりと俺の方に飛んでくると、スッと俺の体内に吸収された。


「これおぬしは闇魔法を完璧に扱えるようになった。一つ忠告じゃ。先にも言った通り、闇魔法は一部の文献に載っている程度の知名度じゃ。あまり大っぴらに使いすぎると大変な事になると思った方がよいぞ。では、異世界ライフを楽しんでくるがよい」


 神が手に持っていた杖をこつんと床に突くと俺の足元に魔法陣が出現した。そして、キラキラ光ったかと思うと次の瞬間、俺の視界は暗転した。

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