顔交換して〇〇

 数日前_別市の学校で女子生徒が飛び降り自殺を図った。女子生徒は飛び降りる前に「返して...返して...私の顔を返して」と妙なことを言っていたらしい。自殺した女子生徒は学校に馴染めず友達もおらず孤独だったらしい。普段の彼女は薄暗く近寄りがたい雰囲気らしい。警察や関係者は精神的に問題がありそれが自殺と判断した。


『顔交換して〇〇』


 私はこのクラスの学級委員をやっていて人から頼られることが多く、私も助けたかかった。今思えばそれがいけなかったのかも知れない。ある日転校生がやってきた。転校生の彼女は君が悪く誰も彼女に話しかける人はいなかった。私は彼女にクラスに馴染んて欲しくて話しかけることにした。


 「ねえ、黒さん」

 『ブツブツ...』

 「黒さん?」


転校生の黒さんは何かを呟くのに夢中で私に気づいていない。何度か話しかけて彼女はやっと私に気が付いた。


 『何?委員長」

 「私ね...黒さんがクラスのみんなに馴染んでほしくて...それで...」

 『それで私に話しかけたんだ...なら私と顔を交換してよ。私を助けたいんでしょ?』

 「え?」

 『嫌ならいいよ。だって私の顔...不気味だもんね』


と笑う彼女の顔はこちらを見下しているようだった。確かに彼女の髪はぼさぼさで清潔感がない。私も少し躊躇いそうになるが会話を聞いていたクラスメイトに彼女は咎められた。


 「何だよ!その言い方。顔交換なんてしなくていいんだよ。こいつの顔なんて面倒なだけだよ!」

 「...やるよ。困っているのなら」

 『ありがとう。委員長』


不敵に笑うとカメラを取り出して私の顔を撮影した。しかし、何も変わらなかった。


 「何も変わらないよ?」

 『よく見て見なよ?』

 「え?」


撮った写真を写真を見ると私の顔ではなく黒さんの写真に変わりふと顔を上げると私の顔が目の前にあった。目の前で転校生の黒さんが私の顔になり、私は黒さんの顔に入れ替わっていた。


 『顔が入れ替わってる!な、なんで!』

 『どうして...私の顔が...やっぱり自分と違う顔はいや...私の顔を返して...返してよ!』

 「どうして?交換した顔は戻らない」

 『そんな!』

 「そんなことより...こんなことをしていいの?黒さん」

 『え?』


周囲を見回すと私を非難するように蔑まれた。私を軽蔑するように見る視線に困惑していると先程まで傍で話しを聞いてくれたクラスメイトに指を指された。


 「おい黒!お前何委員長に向って文句言ってるんだよ!」

 『違う!私が委員長だよ!』

 「何言ってんだ?」

 『だってほら!』


私は指を指して彼女を見た。しかし、彼女は私の親友とお楽しげに話しをしている。


 「そうなんだ。私も困っていたんだ」

 『違う!彼女は私じゃない!違うよ!返して!私を...返してよ!』


騒ぎに乗じて教師が来た。状況を説明したが信じてもらえず適当に流されてしまった。


 「黒さん、何言ってるの。変なこと言わないで席に着きなさい」


(誰も私のいう事を信じてくれない。これは私の顔じゃないのに!あの子は本当は黒さんなのに!)


上手く黒さんに接触できず放課後になった。


(相変わらず黒さんの周りには人がいた。本来は私の場所だったはずなのに...どうして..このままじゃ終われない)


 「見たかあいつ...とうとう狂いやがった」

 「今日のやつ、やばかったもんな」

 『...待って黒さん!』

 「あんなやつのこと無視して行こう?」

 「そうだよ」

 『可哀そうだし、付き合うから先帰ってて』

 「でも...」

 『大丈夫だから!』

 「分かった。じゃあね!」

 『うん!』


帰ろうとする黒さんを呼び止めた。クラスメイトは彼女を気にかけていたが彼女は皆を丸め込んで教室は二人になった。二人になった途端私は彼女に詰め寄った。


 『返してよ!私の顔...返して!』

 「それは無理かな~。だって私この顔気にいっちゃったもん。それにさ~あなた言ったよね。私もことを助けてくれるんじゃなかったの?」

 『それは...だって!』

 「こうなると分かっていたら顔を貸さなかった?それって偽善じゃない?」

 「学級委員長さん、私ずっとあなたになりたかったの。皆に囲まれてさ...でも私はこんな性格だから一時的なものだけど...前よりは上手くいったわ」

 『前ってことは...まさか!』

 「そう、その顔を私が貰ったの。ニュースで流れた自殺事件あったじゃない。女子生徒が自殺して顔を返してって言いながら死ぬ事件」

 『あれはあなたが仕組んだ事件だったの!』

 「そう、顔交換してね~。顔を交換したからもういらない。だから私は明日消える...その前に」

 『え?』

 「あなたもあの子みたいに知られたまま生かすわけないでしょ。さようなら...ああ~人助けなんてしなければ巻き込まれて死なずに死んだのに残念だね。委員長...いや"黒さん"」

 『ああああああああああああああああああああああああああああ!』


ドンと押される衝撃と共に三回の教室から落とされた。地面にたたきつけられた私は激しい痛みが襲う。ベチャベチャと呼吸するたびに血が広がっていく。


(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死んじゃう。これ...私の血...う、嘘)


 「そんな...私はまだ...死にたくな...死にたくないよう...返して...返して...私の顔を...返して...」


私は目の前に立つ黒さんに向って必死に手を伸ばすが届くことはないそのまま朽ち果てた。私の姿を見た黒さんは嘲笑うと楽しそうに手を振り背を向けて学校を後にした。



 翌日死んだ生徒の席に花瓶と共に置かれていた。クラスメイト達はその死を悲しむことは無い。


 「あいつ死んだな」

 「君が悪かったし」

 「それにしても委員長...別の街に引っ越しちゃったね。寂しくなるね」


別の街のとある学校では教師が転校生の名前を黒板に生徒たちに紹介していた。


 「別の街から引っ越してきました。よろしくお願いします。以前は学級委員をしていました」


と自己紹介をした転校生に生徒たちは嫌悪感を示した。


 「げ、あれが元学級委員かよ」

 「あいつ気味悪くね」

 「近づかないほうがいいよ」

 「やめとけよ」


と生徒たちは口々に言った。しかし、ただ一人の女子生徒が転校生に話しかけた。


 「ねえ?よければ私と一緒にお話ししない?」


と女子生徒は言う。


 「なら...顔交換しない」


その言葉を聞いた転校生は不敵な笑みを浮かべて言ったのだった。


顔交換して〇〇              終



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