三毛猫のエミ

羽弦トリス

三毛猫のエミ

あれは確か、僕が小学1年生の時。

犬は飼っていたが、猫は居なかった。だから、近所のおばさんちで生まれた三毛猫の子供を一匹もらうことになった。

三毛猫はほぼメスしかいない。

キレイな模様の子猫を僕は選んだ。名前は、何かのドラマの主人公の、「エミ」にした。

エミを抱いて、いつも寝ていた。

1年も経つとかなり大きくなり、農家の天敵ネズミをよく捕まえていた。

エミは好き嫌いなく、どんなエサでも食べた。

もちろん、避妊手術はしてある。


ある朝、布団のそばにネズミの大腿部が置かれていた。

大腿部は四脚の動物の中で最も美味しいとされている。

それを、エミは僕に食べさせようとして、大腿部を枕元に置いたのだ。

僕はエミの頭を撫でた。

エミは喉をゴロゴロ言わせいる。僕はそっと、大腿部を捨てた。


エミは長生きした。

高校3年生の時にエミはボケてきた。猫じゃらしには興味を持たない猫だったのに、急に猫じゃらしで遊ぶようになった。

また、トイレもどこでもするように。

そして、ある朝、エミは車のタイヤで遊ぼうと道路に出て、事故に遭い死んだ。


車に突進するくらい、ボケていたのだ。

自宅には、祖父と隣に座るエミの写真がある。

見るたびに、エミの事を思い出す。

から、あれ何匹も猫を飼っていたがエミより長生きした猫はいない。


あの時は猫アレルギーじゃ無かったのに、大人になると、猫アレルギーになり目や鼻が痒くなる。

僕は動物を飼ってはいけない。

金魚さえも。

別れが辛いのだ。

僕には、植物が一番だ。

でも、猫は好きだ。印象深いのはやはり、ネズミの大腿部だ。しかも、何回も。

実家も無くなった。

弟の家には猫がいる。「ヒメ」ちゃんだ。

これからは、ヒメちゃんと会うのを楽しみにしよう。



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三毛猫のエミ 羽弦トリス @September-0919

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