怪物 表象の怪物。 グラダ
「うわああ!!」
「逃げるな、これは“表象の怪物”お前が戦うべきものだ、弱点を見極めろ」
「怪物って、何、戦うべきもの?誰が敵!?」
「お前が生み出したものさ」
「そんなわけないだろ!!」
「いいさ、すべてはやがてわかることだ、だがこう言いかえることもできる、お前は未来をみている、彼女は、君ではなく彼女の悪意であるともいえる……君の記憶の」
「さっきから何をいっているんだよ!!」
「お前は“今この世界は確定していて、確かに存在していると考えている、秩序は当然のように物理法則にしたがっていて、時はこれまでと同じ用に流れているとおもっている、だが違う”あの怪物と君は一緒に生きることができるか?受け入れる器があるか?」
「あああああ!!」
蜘蛛は、上下も左右も気にせず自由自在に屋内を動きまわる、たいして自分は武器もなく、戦闘技能もない。いったいどうすればいいのか。ただ、偶然にも周囲には蜘蛛の出現から、まるで蜘蛛の子を散らすように、人影はなくなっていた。
(何を下らない“演目”を演じているのか、“ピエロ・グラダ”わざわざ、体感しなければ“目覚め”ないのか、お前の中の本当の記憶は)
ザイルはヒッヅ距離をとると、廊下の角で、ヒッヅには全く聞こえない声でそうぶつぶつと訳の分からないことをつぶやいた。その傍らから、頬のぷっくりした少女が突然あらわれた。ショートの黒髪で、赤いメッシュが入っており、白いインナーカラーで、瞳孔は白、目の端のマツゲは鋭くは寝ているが、全体的に大きく均一な形をした瞳だ。輪郭はするどさもあり、頬はかさかさした印象があった。
「彼は大丈夫よ、こんなやり方をしなくたって、いずれ目覚める」
「お前は、なぜあいつにそんなに期待をする、どうせ同じ未来になるだけだ」
「いいえ、私は変化を受け取ったわ、きっと肌感覚でしか分からない変化かもしれないけれど」
「結局この“夢”でもお前を犠牲にしたというのに」
「フンッ」
少女は笑うと、すっとその場から姿をけした。そして隣の建物の屋上へ飛び移ると、そこから彼、ヒッヅを見下ろすのだった。
「俺に、あんな奴と戦えるわけがない、だって俺は……」
ヒッヅの頭には、古びた町、故郷の記憶が思い浮かぶ。そして二人の少女と犬ににた獣たち。
ナイトメアブラッド、血肉に飢えた獣が、捕食の概念しか頭にない野獣たちの顔が浮かんだ。彼らに意志はない、彼らに目的はない。ただあのときは……ある少女を生贄にして、生き延びた。
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