第15話紺碧正近
《種別:武器・打刀》
要求筋力値:15
攻撃:20
耐久:426/426
特殊:『吸練魔』
己の傷を主の魔力を無理やり吸い取ることで、修復する。
その際、魔力を吸えば吸う程刀が使用者にあった形に変化する。
紺碧の宝石いしの名を関する者が勝ち取った、主の魔力を吸い続ける魔刀。かの刀は、吸い上げた魔力を以て己をより主へと適合させて行く。なお魔刀自身に意思があるわけではないため、魔力の吸収を止めることは出来ない。
この武器は他人へ譲渡出来ない。
――
「……おお、凄いね」
「お姉、これはぶっ壊れだって…………。明らかにサービス初日に手に入るレベルじゃないって」
表示された私の新しい刀の性能に、揃って目を丸くする。
何? エクストラって。
名前の通りの紺碧色の鞘に包まれていて、柄には同色の柄糸が巻かれている。
柄頭や鍔(柄と刀身の間のやつね)は金色。
さっそく抜刀してみる。
そこに現れたのは、二尺三寸程(だいたい70cm)の反りの薄い白刃。
ちょうど私の身長(160cm)に適切な長さだ。
波紋は
白刃は当然といえばそうだけど、傷一つ無い。光をそのまま反射するかのように光り、吸い込まれるような魅力を感じさせる。
それから――
「……ん? お姉? おーい」
鍔に掘られている柄は、見たことがない。
刀身側に掘られているのは、九芒星。柄側のは、十二芒星。
…………これは、多分ラピスラズリの誕生月から来ているのだと思う。ラピスラズリの誕生月は、9月と12月だから。
「――お姉は昔、初恋の人の前で服が脱げたことがあってね。あ、態とじゃなくて」
鞘の
この紺碧正近という刀は全体の拵えを紺碧色と金色で統一されていると言える。
樋(血流し)が掘られていて、突き技もしやすくなっている。
それに樋は軽量化の効果もある。
スピード重視の私にはもってこいの性能。
それに使えば使うだけ強くなっていくのもいい。
いや、厳密には強くなるかは怪しいけど、使い手に合うように変化していくって言うのがとても良い。
ああ、やばい、語彙力が……。
「それで、その時のお姉が傑作でさ、顔真っ赤にしながら、服縫ってもらってたの! 矢鱈綺麗にっ」
ん? アンバー、何話してるの? ねえ?
「縫い目がわからないレベルでさ――痛い、痛い、痛いっ、頭割れる!」
絶許。
________________
約10分後、何とか場を取り直して、コメントの返信に答える。
『えくすとら……なにそれ?』
確かにそれは分からない。
ヘルプ機能とかになにか乗ってないかな。
ええっと、メニューの…………
「――あ、あった」
ヘルプの欄にそれっぽいのを見つけた。
――
エクストラ装備について
そのゲームにおいて、一つずつしか無い武具。その能力はずば抜けて高いが、デメリット付きであることが多い。取得条件は様々であり、取得したプレイヤーにより武具の形態も変化する。
(また、ゲームで最初に獲得されたエクストラ装備は、更に破格の性能を持つ……かもしれない)
――
……うん。何か凄いことになった。
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