Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜
月 位相
Hello World
第1話プロローグ
風が幾度と無く耳朶を打つ。
けれども、風の元が身体を打ち据えることは、
私たちはお互いに木刀を以て、相手を打倒せんと剣戟を繰り広げる。
「――ハアッ」
大きく弾かれた得物を手首の返しで引き戻し、目の前の友達てきの脇腹目掛けて振り抜く。
「甘い」
けれど、彼には届かない。ギリギリのタイミングで身体を引いて、これを躱す。
でも、それは想定済みだ。
木刀を振り切った姿勢のまま、前身。
右肩を押し付けて、衝撃にて彼を吹っ飛ばす。
「――チッ」
思わずといった様子の舌打ち。
何とも嫌そうな顔をしているけど、彼は寸前で私の攻撃を減衰させた。
とんでもなく速い反応。
彼曰く速いのではなく、多いらしいそれはそうは言っても、
攻撃はまともに当たらず、当たったとしても殆どノーダメージ。
ああ、本当に――
「楽しいね、悠真!」
獰猛な笑みを浮かべているとは思う。
でも、私は今この瞬間が一番好きだ。
未だ勝てない友達てきがいて、彼と技をぶつけ合える。
「――ああ。だけど、これで終わりにしようか。
彼も私と同じように口元を歪めて、2人揃って同じ構えを取る。放つ技は全くの同一。
練度は彼が。速度は私が。
互いに勝るものをもち、同時に駆け出した。
これが最後になるとは、お互い知らずに。
その後、彼は全てを失い、私は歩みを失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます