選択基礎演習の期末の答案

しのびかに黒髪の子の泣く音きこゆる

第1問 インタビュー/神社

令和5年度秋学期 文学部

選択基礎演習15 期末試験問題


学籍番号:1U230687-9

氏  名:藤森 愛奈




第1問 次の文章を読み、問いに答えなさい。



(前略)

―朝7時半頃。その時に?


 だからそう。アパ(ホテル)から出たら、4月の割にジメジメしてて、じっとり髪の毛が湿ってくるような、雲が重たいような朝。すぐ傍の東新宿駅に入ろうとして。


 でも、歩き出すと、逆方向から聞こえる。

 いーーーーーーって。

 人の声にも、何か機械の軋みにも聞こえる低い長い音。


―何の音でしょう?


 自分も気になって引き返したんだ。歌舞伎町の方につながる通りに出て、あそこ、神社があるんだ。昨晩泊まる時通り過ぎたら、「ああ白い提灯がぶら下がってるな」とは思ってたんだけど。


 ホストとその客か、若い男と女が鳥居越しにその神社を見てて。そいつら、黙って、何か顔を白くしてて。ほら、こういう時、若い奴らってすぐスマホ出して撮ったりするじゃん、でもしてない。そういうタイプのがいるんだろうなって。


 悩んだけど、神社の方に行く。

 したらまた、いーーーーーーーって。


―もしかして、貴方の後ろから?


 よくわかるね。


「え、何で!?」


 振り向いても何もいない。よくない予感はするけど戻るのも怖くて、進む。音はずっとした。石の鳥居の前に来て、中を覗き込む。



 なんかね、花が並んでたの。

 棚が幾つも組んであって、さくら草の小さな鉢がいっぱい並んでて。


 そこに中年の男が一人、立ってた。

 真っ裸で靴も無し。

 でも血なのかな、肌中赤い手形あって。


 俺のこと見てて。


 目が合ったら笑って。

 口からバッと、さくら草の花びらが散った。


 その後、歩いて鳥居を出ていったよ。


 何だったんだろうね、あれ。















問1 以上の文に登場した人物のうち、死んだのは誰ですか?


答 ( 話の聞き手 )


問2 どうして死にましたか?


答 ( いーーーーー、と音を出していたのは語り手。その音は、語り手の後頭部の穴から出ていて、彼はそれを隠したかった。 )



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る