TRPGボッチ

@xcgd4

第1話【TPRGはボッチに厳しい】

 【門宮 宇辻(かどみや うつじ)】。21歳。

 TRPGをやる青年である。

 TRPG--『テーブルトークロールプレイングゲーム』。要はダイスと手動でやるRPGゲームなのだが、これはとても奥が深く、闇が深い。

 クッソマイナーな文化というのに意外と人口がいるこの分野。数年ほどこの沼にどっぷりと浸かったモノの感想として言える事がある。

「TRPGってマジでカスだな」

 マイナーな文化な癖に何故か途轍もなく界隈が広い。

 それこそコミケのその他に分類される区分であり、その中で色々なジャンルがごちゃ混ぜになっている。

 ごちゃ混ぜになっている事で界隈独自のルールみたいなどのそのジャンルごとに様々であり、そのルールを把握することは困難。

 有名なジャンルならまだしも、それが誰も知らないような下水道のくねくねした道のように広がっているのがまた歪さを物語っていた。

「どーするかなー」

 だからと言って宇辻はそれだけでTRPGを止められるほど、頭がいい男ではなかった。

 この宇辻も宇辻でその下水道の暗がりを探索するのに楽しさを覚えてしまった愚かな男なのだ。

「卓やりてーーーー」

 TRPGというのは誰かがGM(ゲームキーパー)という【ゲーム機とカセット】の役割を果たさなければゲームをやる事ができない。

 酷い事にGMというのは結構貧乏くじな役割である事もあり、PL(プレイヤー)の人数に対してGMが足りないなどという需要と供給が追い付いていないという事態が多々ある。

 この時点でカスなのだが、そこに簡単な人間関係などもプラスされ、カス度は更に加速する。

「GMしたくない」

 だとすればPLをするしかない。

 最近ではGMをする人を探すのはとても色々な手段がある。

 特定サイト、特定ディスコード、特定SNS。

 だが、希望する【カセット】。【システム】があるかは別なのだ。

 自分は【ゼ〇ダ】をやりたい。自分は【ポケ〇ン】をやりたい。自分は【スーパーロボッ〇大戦】をやりたい。

 この個人個人の欲望によりシステムを決め、今やりたい最適なGMが出した募集を見つける。

 難易度が高すぎる。高すぎるのだ。

「あ、あった。これ……」

 自分がしたいシステムを幸運にも見つけた宇辻だったが、

「……誰だこの人」

 知らない人がいる環境下でTPRGを遊ぶというのはとてもハードルが高い。特にGMが知らない人の場合その人の好みによりゲームがどんな方向に行くか分からないリスクが更に高くなる。

「………やめよう」

 高いリスクには突っ込めない。知らない人とやるのは怖い。そうして彼はその募集に目を背けた。


 再び言う。

「TPRGってマジでカスだよ……」

 ボッチに辛い。だが、ハマったらまたやりたくなる。

 そんな混沌の沼の中に浸かってしまった宇辻はまた自身がやりたい募集を見つけるためネットの闇に沈むのである。

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