第1話

「ふぁ~~」


「すごい眠そうだね」


おっといけない、眠くて大きなあくびをしてしまった。


「あ~、昨日は夜遅くまで弾いてたからな」


そういう俺は伊東 遥希、今巷で話題の感情を唄う音楽家だ。


「そこまでのめり込めるのもすごいと思うよ。」


そういう彼は俺の友人の坂下 理人だ。

頭が良いから俺の動画やらCDやらで入ってくる金の管理と動画編集をお願いしている。金はもちろん山分けだ。


「もとはただの道楽で始めたんだけどな。今じゃクラスでもたまに話題に出る始末だ。」


「うちのクラスでもたまに話されてるよ」


と駄弁りながら通学路を歩いていく。

めっちゃどうでも良いけど朝、交通整備をしているようなおっちゃん達は皆暇なのだろうか?毎回同じ人な気がする。


「そういや、今金どんくらい貯まってる?」


「確か...」


「おはよう!何の話してるの?」


「うわっ!いるなら言えよ。」


「だから声掛けたじゃん。」


こいつは岡田 虎太郎。勝手にコタと呼んでいる。


それよりも今の話聞かれていなかっただろうな。

俺は目だけで理人に話しかける。頷かれたってことはセーフだ。ヒヤヒヤしたぁ~。


「何の話かというと人類の進歩と調和について少々」


「へぇー、小難しそうなことやってんねぇ。

そういや、英語の小テストの勉強した?」


「やべ!なにもやってねぇ!」


「まぁ、頑張ってね~」


コタは去っていった...知らなかった方がいいことを残して。


そんな感じで学校に着くと、やはり2時間目は英語の小テストだった。こうなったら内職するかぁ。となったところで声が聞こえた。


「皆、ハルさんの新しい曲聴いた~?」


めっちゃビクッとした。いきなりは心臓に悪いンでやめてくれませんかねー。と思いつつも後ろを見ると、キャピキャピした女子とかが集まっていた。


「聴いたよ。良かったよね」

「え、まだ聴いてないんだけどいつでた?」

「昨日の夜遅くだね」


この話題にも出たハル、というのは俺の音楽家活動をする上での芸名みたいなもんだ。

すると、理人がこちらによって来るのが見えた。


「朝から大人気なようで」


「毎度毎度ビクビクするからやめて欲しいんだけど」


「まぁ、有名税ってことで甘んじて受け入れなさいや」


そんなやり取りがありつつもあっという間に学校は終わった。ちなみにテストは10点中4点だった。

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