第22話 魔王軍、襲来
ミユは、自己犠牲ではなく自ら邪神と戦う道を選んだ。なら、俺が横から口を挟むのもおかしな話かァ………
今の俺にできるのは、全力でミユを支える事のみ。
「まァ、当事者のミユがこう言ってるんだ、俺はミユと共に戦う。アイン達はどうする?」
「当然、戦うさ。君達だけに重荷を背負わせるつもりはないよ」
「アインの言う通りです!!!当たり前じゃないですか」
アインとリゼルも既に邪神と戦う覚悟ができているようで、俺の問いに対して即答した。
その直後、野営地に梟の鳥人が現れて俺達のもとに舞い降りる。
「伝令!!女王陛下に申し上げます!!西の砂漠から、魔王軍が侵攻してきました!!!」
「魔王め………こちらの動きに気付いたか。ザイード、我が国の軍をお前に預ける。指揮は任せたぞ」
「仰せのままに………」
ザイードさんが出陣の準備をしている間、俺達はクロツキ女王と共にリタの造り出した暴風のカプセルの中に入り、砂漠を西方向に最速で突っ切りながら魔王軍の頭上すらも超えて行く。
「もう時間がない。ザイード達が魔王軍と戦ってる間に少数精鋭で魔王城に乗り込み、魔王を邪神の洗脳から解放する………!!!」
「突入したら〜………私の権能『
「リタ………、無理はするなよ…………」
クロツキはリタに不安げな表情を向ける。
「平気だって〜………流石にクロツキと二度と会えなくなるのは嫌だからね〜………」
リタはそう言って屈託なく笑った。暴風のカプセルは速度を上げ、魔王城の外壁めがけて進んでいく。
「ま………、まさか…………、もしかして、
「YES YES YES!! Oh my god. …………という訳で、行ってらっしゃ〜い………」
リタの声が少しずつ遠ざかる。そして加速のままに城壁に正面衝突して粉砕した。
暴風のカプセルは凄まじい衝撃の割に無傷で俺達を守ってくれたが、その後俺達の中で、この暴風のカプセルが軽いトラウマになった事は言うまでもない。
▷▷▷
リタside
「さて、久々に本気出しますか〜………」
かつて、
正直、下手したら死んでもおかしくない。だけど、天使を憎んでいるにも関わらず弱っていた私を拾ってくれたクロツキの為ならば、この身などいつでも差し出していい。
私は喜んでクロツキに降り注ぐ火の粉の盾となろう。いや、むしろ全て吹き飛ばす。
そういえばあのミユって娘、私によく似た性格だったな………
どこまでも頑なで、脆く、鋭い。そして触れる者全てを拒絶するかのような闇を抱えている。
そんな娘でさえも愛する者の為に、逃げ出すよりも進む事を選んだのだから………、私だってここで日和るつもりはない。
「
暴風の壁で魔王城を覆い尽くし、内部への侵入と魔王軍の退路を同時に遮断する。
「さて、魔王軍の皆さ〜ん、ここから先は、一方通行だ…………!!!(ドヤァ✨)」
リタside 終
▷▷▷
ザイードside
「リタ様が派手に暴れているな………よし、ここまでは計画通り。夜巡部隊、仕掛けろ!!!」
「こいつら………!?どこから!!!ウワァァァァァ!?」
夜巡部隊の強襲により、すでにボロボロだった魔王軍の陣形が完全に崩れる。
魔王城への道を防風の壁に阻まれ混乱した魔王軍の部隊に対して、あえて篝火を使用せず、夜目の効く獣人族で構成された夜巡部隊での夜闇に紛れた強襲。そして、充分に戦線を乱した所で夜巡部隊の後ろから本命の戦力を投入。
種族が違えば強みも違う。それこそ、多種多様な種族が共存する常夜の国の最大の武器。
「さて、なるべく殺すな………との事だったので徹底的に時間稼ぎをさせてもらう!!!」
ザイードside 終
□□□
用語解説
獣人
亜人よりも野生的な遺伝子を強く残した人類。具体的には、亜人よりケモ度が高い。
フィジカル面で人間や亜人より優遇されており、戦士として高い適性を持つ。
余談だが、もともと亜人は獣人と人間の混血により偶発的に誕生した。その後、種分化により一つの種族となる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます