ある日の放課後の出来事。
そんな毎日を過ごしていた。
朝、学校に着いて教室に向かうと、オトヤがもう席に着いていて何もしないで座っているオトヤに向かって、俺は一応、挨拶を済まして、何も会話が無いまま俺は自分の席へ向かう。
そして、休み時間、移動教室、ランチタイム、帰りまで何も会話が無いまま一日を過ごすんだ…。
それが、毎日…。
毎日だ…。
何の代わり映えのしない毎日。
つまらなくて、退屈で、苦痛で、学校に行くのが嫌だった。
友達なはずのに、一緒にいると苦痛なんだ…。
話せば否定をされ、挨拶はしなくて、会話が続かなくて、ただ俺が『ひとりぼっちって思われたくない。』
そんなちっぽけな理由の為に一緒に居るとはいえ、これでは最初から居ないのと同じことだろう。
ある日の放課後、俺は帰ろうとスクールバッグを肩に掛けて、教室から出ようと歩いていたんだ。
机の間を歩いていると、俺のスクールバッグが何かに当たった。
『ドサッ』という鈍い音が教室中に響いたとき、俺は『何か落ちたな。』『やっちまった…。』そう思った。
振り返った瞬間に机から落ちた物を床から拾い上げて、その持ち主の机に置こうとした瞬間に、その持ち主が物が落ちた音に気がついて俺のそばまで来ていたようだった。
俺の目の前に持ち主が近づいて来たことに気がついて、落ちた物を持ち主に渡しながら、俺は、『ごめん。これ。落としちゃって。』と謝った。
謝ったはずだった…。
そしたら、すぐに女の声で、
『何これって言われたんだけど。』
『壊れてたら弁償しろよ。』と教室から逃げるように出ていく俺の背中に乱暴な言葉で声を荒立てた。
持ち主には、『何これ。』と聞こえていたらしい…。
持ち主の聞き間違いだ。
その持ち主は、クラスの不良で『シホ』という。
髪の毛にはエクステンションをつけていて、メイクをしている。
教師達は、『シホ』に対して何も言わない。
その日も『シホ』は放課後、教室に残っていた。
何かにつけてネチネチ小言を言う人『モモ』と一緒におしゃべりをしていたらしい。
その中で起きた出来事だった。
何かにつけてネチネチ小言を言う人『モモ』と声を荒立てた『シホ』が合わさったら、どうなるかは確実だ…。
俺は、何て人達と同じクラスになってしまったんだと絶望した。
その出来事が起きた時、その場に居たのは俺だけじゃない。
オトヤもその場に居たんだ…。
あの出来事があって逃げるように出てきた俺達は、その場に居たオトヤに『俺、謝っていたよな?』って聞いたんだ。
そしたら、オトヤの口からは、『ちゃんと謝ってたよ。』っと返ってきた。
だったら、あの時『勝喜、ちゃんと謝ってたよ。』って言ってくれよ。って思ってしまったんだ。
あの場で、何も言わずにただ棒立ちで見ていたオトヤに、ほんの少しばかり不信感を抱いてしまった。
あの落としてしまった物は、コスメだったらしい。
それならいくらでも弁償するよ。
そんなことでいちいち声を荒立てて、聞き間違われて、散々だった。
それより、学校にコスメを堂々と持ってくるのもおかしいんだよ。
って思っていても、現実では、不良な生徒と味方の人数が多いものが強くて、そういう人が学校で威張ることが出来るんだよな。
先生達も、そういう人達に味方だしな。
知ってるぜ、俺は。
自分迷子/哀原勝喜 哀原勝喜 @masaki_aihara
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