気持ち悪い人から言われた出来事が頭から離れてくれない。
後で(ノンフィクションの文章として)ずっと書こうと思っていた出来事があるのだけれど、どうしても、俺の頭の中から引っ付いて離れてくれない、気持ち悪い出来事、気持ち悪い人がいるんだ。
今日は、その事について話そうかと思う。
それを思い出すだけで、喉がギュッと閉まって、声が出なくなる感じがするんだ。
そして、吐きそうな気持ちになるんだ。
思い出さなければいい話なのだが、一度思い出してしまった記憶は、なかなか消えないのが現実なんだ。
一瞬忘れていても、ふとした出来事で簡単に思い出してしまうんだ。
例えば、顔が似ているとか、声が似ているとか、テレビでタレントが恋人との出来事を話しているのを見てしまった時や、性の話題の時、男女のセックスの話を聞いてしまったときなど、、。
男性の体の話や女性の体の話を生々しく話しているのを聞いてしまった時などに、十五歳の頃の俺が、気持ち悪い人にされた出来事を思い出してしまうんだ。
でも、俺は、LGBTQ+の話は聞きたい。学びたい。知りたい。って思うから、深夜に放送しているNHKの番組は、よく見ている。
俺も、実は悩んでいる所(コンプレックス)があるから。
それは、特に第二次成長期からコンプレックスを強く感じるようになった。
その体の事を触れて欲しくなかった。
女の子だと、胸が膨らみ始めたり、体つきがふくよかになったり、括れが出てきたり、生理が来たりする。
女の子は、女性らしい体つきへと変化する。
男の子だと、背が伸びて、声変わりが始まる。
骨格も変わって、毛が濃くなる。
そして、アソコも成長する。
男の子は、男性らしい体つきへと変化する。
俺は、幼少期から、可愛らしい子だったんだ。
小学生の頃、中学生の頃は、背も飛び抜けて高いわけでもなく、太っているわけでもなかった。
小さい頃から童顔で、よく年齢を間違われていた。
小学生の頃と中学生の頃は、男女共に仲良しだった。
中学生の頃は、身長を伸ばすのに必死だったな。
毎日のように、保健室に行って、よく身長を測りに行っていたな。
でも、ある授業の時だけは嫌だったな。
それは、『体育の授業』の時だ。
制服から体操服になる時間。
それが嫌だった。
中学生の頃は、半袖、ハーフパンツだから、体の特徴が分かりやすいんだ。
俺には、体操服という格好が、体の特徴が分かりやすいって思ってしまっていたんだ。
コンプレックスだったから、体つきが変化して、毛も濃くなって、誰にも見られたくなかった。
それに、俺は、ソッチの成長は幼いながら早かったんだ。
だから、隠すためにわざとブカブカの半袖とハーフパンツを着ていた。
だから、体操服になる時間がいつも苦痛だった。
誰にも、性の事について触れられて欲しくなかったんだ。
いつも、体を隠すように、ブカブカのダボダボの洋服を着ていた。
それは、学校が休みの日でも、体を隠すような洋服を着ていた。
自分の体の変化が嫌だった。
けれども、生きていかなきゃいけなかったんだ。
あの当時は、隠すことで、少しは俺は、自由になれた気がしたんだ。
コンプレックスは、ずっと背負ったままで、高校生になった。
あれは、蒸し暑い六月だった。
十五歳の俺は、ひとりで帰ろうと学校から出たときだった。
一人の生徒に声をかけられた。
お世辞にも素敵な顔とは言えないような生徒が俺に向かって歩いてきた。
ゆっくりと歩いてきた。
恐る恐ると言えばいいのか、とにかく、なんとも言えない歩き方をしてきたんだ。
その生徒は、
『すみません。』
『アドレス教えてくれませんか?』
そう俺に言ってきた。
自分の名前も言わずに、そう言ってきたんだ。
俺は、その生徒が高校三年生に見えたんだ。
先輩だと断りづらいなって思って、『アドレスくらいなら良いか。』って思ってアドレス交換をした。
あの当時は、LINEとか無かった時代だ。
アドレス交換でも、最新の時代だったんだぜ。
あの当時は。
相手のメールアドレスを赤外線受信して、俺のアドレスは、後で俺からメールで送るって言ったんだ。
それで、家に帰って、メール送り返さなきゃいけない事を思い出した。
携帯の電話帳を開いたら、さっきの人の名前が見当たらないわけ。
俺、仲がいい人は、全部下の名前で登録しているんだけれど、その人はフルネームで登録されていたからすぐに分かるはずなんだ 。
だけれど、ソレが見当たらないわけ。
その人の名前が。
あぁ。『登録失敗したんだな。』って思って、『自分から送るって言ったのに送らないのは、相手に悪いな。』って、変な優しさが出てしまってね。
今度会ったときに、『アドレスを聞き直そう。』って思ってしまったんだよな。
でも、聞きに行かなくてもよかったのにな…。
本当に。
今思うと、嫌な思いをするだけだから、『好きでもないヤツに、アドレスを聞き直しに行く必要なんてひとつもないんだよ。』って、十五歳の頃の俺に言ってやりたい。
そして、六月のある日の放課後、帰ろうと、ひとりで学校を出た瞬間に、見覚えのある姿が見たような気がして、俺は、走ってその人に声をかけた。
この間のアドレス交換をした人で当たっていた。
そして、アドレスが登録出来ていないことを説明して謝った。
そして、お互いにアドレスを交換をした。
相手は、部活があるようでその場で別れた。
けれど、そのやり取りを見ていた同じクラスの人達が居たんだ。
そして、次の日にその人達に、俺が人に話しかけていたと噂を流されてしまった。
『本当は違うのに。』
『本当は、向こうが勝手に声をかけてきて、しょうがなく俺が聞き直しに行っただけなのにな。』
でも、俺は、学校でハブられているから、誰にも何も言えなかった。
学校が終わって、家に着いたときにメールが届いていた。
開くと、この間のアドレス交換をした人だった。
その人は、なんと、同じ学年だった。
そして、勝手に決めつけた血液型の話をされた。
初めて話すのに、失礼な人だなって思っていた。
俺からメールをすることは一度もなかった。
向こうから送られたメールの内容に返事を返す程度である。
ある時は、『大学生と付き合ったことがある。』とメールが届いた。
大学生が中学生を相手にする訳ないだろって思った。
この人の顔、お世辞にも素敵な顔とは言えないと言ったが、月曜から夜ふかしっていう番組に出てくる『ガイ』って人にソックリなんだ。
そんな人が大学生に相手にされるか?
分かりやすい嘘をつくんだよ。
この人は。
ある時は、『キスしていい?』って文字の入ったメールが届いた。
開いた瞬間に、『キモッ。』って思った。
言っておくが、これはアドレスを交換して一週間も経っていない間に起きた出来事だ。
それに、その人とは付き合ってもいない。
俺には、中学生の頃から付き合っている可愛い恋人がいたから。
ただの話し相手だと思っていたんだ。
俺は、好みじゃない人には自分から話しはしない。
向こうが勝手に送ってきたんだ。
それで、俺は、
『なんで?』
『付き合ってないだろ。』
って送り返した。
そしたらすぐに、
『ダメ?』
『キスしたいなって思って。』
って返事が来た。
その内容が気持ち悪くて、
『付き合ってないだろ。』ってもう一回送って携帯は電源を切った。
大体、『キスしていい?』なんて聞かない。
それに、ブサイクすぎて無理なんだ。
またある日は、『精通っていつ来たの?』って送られてきた。
一番触れられて欲しくない体の性についての内容だ。
俺は、これでもコンプレックスを隠しながらも頑張って生きていたのに、一番触れられたくない事をズカズカと踏み込んできた事に心底その人に嫌気が差した。
俺が、嫌だとも知らずに。
精通の事なんて、女に置き換えれば、『生理っていつ来たの?』って聞いているのと同じことだ。
今まで、そう言うことは聞かれたことがなかった。
というか、聞いてはいけない暗黙の了解だと思っていたから。
デリカシーのないヤバい奴だった。
俺は、絶句した。
人が嫌がることを聞く人だな。
『そういう話やめろよ。』
そう送り返した。
すぐに『ごめん。』ってメールが返ってきたけれど、俺は、無視をした。
こっちは、仲いいと思っていないのに、馴れ馴れしくメールが届く。
どれも、気持ちの悪い内容ばかりだ。
その人は、いつも俺を呼び出しに来るんだ。
その様子を見てか分からないが、『俺達が付き合っている。』とクラスの人に噂をされた。
言っておくが、俺から呼び出したり、一緒に行動したりなんて一切していない。
何故なら、付き合っていないのだから。
そして、呼び出されては、誰も居ないところに行こうとする。
いきなり、『手繋いでもいい?』って聞いてきた。
『普通は聞かねぇんだよ。』って思ったけれど、何も言わずに俺は、腕組みをして拒否をした。
その、のっそりと出された手が、ささくれまみれのガサガサな手だった。
その光景が今でも脳裏に焼き付いていて気持ちが悪いんだ。
またメールが届いて、開いたら、そこには驚く内容が書いてあった。
『哀原さんって、オナニーってしてるの?』
絶句した。
『女でも男でもその行為は知ってるし、してるだろうが。』って思った。
けど、そう言うことはなかなか言いづらい言葉だろ?
だから、少し切れ気味に、『そういう話はやめろよ。』って送った。
またすぐに、『ごめん。』
『じゃあ、なに話す?』って送られてきた。
送られてきたけれど、返事はしなかった。
『したくなかった。』が正しいかもしれない。
『謝るくらいなら送ってくるなよ。』って思ったんだ。
それから、暫くはメールも呼び出しも無くなった。
俺は、六月の後半から学校を休みがちになった。
理由は、ただ、学校がつまらないのと、行っても嫌なことばかり起こるのと、何となくやる気が起きなかったからかな。
よくズル休みをした。
そんなズル休みをしていて、テレビを見ながらのんびりしていた時にメール受信のランプが点滅した。
開くと、コイツからだった…。
ちょうど時間帯がランチタイムだったから、その時に学校からメールを送ったのだろう。
内容は、また絶句するような内容だった。
『今日、夢の中で哀原さんとセックスする夢を見た。』
『哀原さん、凄かったよ。』
と……。
キモイを通り越して、死んでしまえ!!!と思った。
久しぶりにメールが送られてきたと思ったら、この内容。
呆れて、すぐに削除した。
返事が来ないから焦ったのだろう。
『ごめん。』と送られてきた。
それでも俺は、無視をした。
またすぐにメールが届いて、
『ごめんね。』
『怒った?』
と書かれている。
怒った以前に、呆れているんだ俺は、オマエに。
そう思ったけれど、メールはしなかった。
一切、メールはしなかった。
それから、メールは来なくなった。
すごく、気が楽だった。
久しぶりに澄んだ空気を吸えたような気がした。
気持ちの悪いヤツに追いかけられることもなくなって、気持ち悪い内容のメールも来なくなって、日常を取り戻したかのように思えたけれど、心に負った傷は深かったようだ。
性的な事をメールで言われ、自分のアイデンティティを傷つけられた。
相手は傷つけていないと思っているだろう。
けれど、俺は、酷く傷ついていたようだ。
自分では気づいていなかったけれど、似ているような人がいたり、似ているような事を話されたら、気持ち悪くてしょうがないんだ。
この事で、トラウマになっているんだ。
性的な事は、仲が良くても気軽に話せることではない。
それに、コイツとは仲が言い訳でもない。
ただの学校の人だ。
それと、こんな出来事もあった。
少し肌寒くなってきた十月のある日。
学校が終わって、家で家族とのんびりしていた時に、メールが届いた。
差出人はコイツからだった…。
内容は、『哀原さん、今度、ラブホ行こうよ。』
誰が俺にメールしていいって言った。
それに、高校生がラブホなんて入れる訳ないだろうが!
『アドレス変更しておけよ。』『俺のバカヤロウ。』って思いながらもメールが届いてしまったものはしょうがない。
『無理。』とだけ返事を送ったらすぐに、
『ごめん。』
『部活の先輩が勝手に送っちゃった。』と返ってきた。
あのな、ラブホのメールの受信時間、十分前だぞ。
返事がすぐに返せるってことは、オマエ、携帯肌に離さずに持っていただろう。
『無理。』って断られたからって、見え透いた嘘ばかり送ってきて、コイツ、本当に気持ち悪い奴って思って、すぐにアドレス変更してメールが来ないようにした。
これで、『関わりがなくなって清々する。』って思ったはずだったのに、コイツは俺のまわりに現れるようになった…。
それも、ノソノソとストーカーするように。
普通、嫌がっていたら、なるべく控えようとか思わないのか。
それとも、空気が読めない奴だったのか。
俺、すごく嫌がっていたのにな。
その人に向けて笑顔を向けたことなんて一回も無いのにな。
俺、一ミリも恋愛感情なんて無かったよ。
それなのに、勝手に勘違いされて辛かった。
それと、メールの返信をしていたのは、携帯をいじるのが高校生だと思っていたから。
メールが来たら返すのが絶対!みたいな変な正義感が俺の中ではあったからなんだ。
今思うと馬鹿みたいだな。
本当に連絡したい人だけで良いのに。
全て、高校一年生で、十五歳の頃に起こった出来事だ。
ブサイクな人に、『キスしていい?』とか『手繋いでいい?』とか『オナニー』とか『セックス』とか『ラブホ』とか性的なメールばかり送られて、とにかく、好きでもない人に性的なメールを送られたのが許せなくて気持ち悪くてどうすることもできなくて、すごく辛かったんだ。
今でも。
この性的なメールが送られた事を親に話せたのは、今から半年前くらいだった。
今まで、親に話せなかったのは、俺が性的なメールを送られるような『汚らわしい子』だと思われたくなかったから。
話したから、この出来事がごっそりと消えるわけでもないが、ずっと俺だけが背負うのもしんどくなってきたから、話せて良かったと思いたい。
性的なメールを送ってきた人の現在は、契約者の顧客情報をSNSに写真付きで載せている事が判明した。
ソイツは、顧客情報を流出させているんだ。
最低だろ?
人間として有り得ない行動だろ?
でもな、ニュースにも流れていなくて、会社側も気づいていないんだ。
俺は、ソイツがノウノウと生きているのが許せなくってね。
夜中ってさ、寝る前になると、嫌なことばかり頭の中をグルグルと駆け巡ってしまうよな。
今日は、語れてよかった。
いい夢が見られますように。
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